株主の皆様へ(第6回)
『 重大な事業方針の明確化:コア事業と周辺コア事業の連携と4つの基本方針について 』
藤原 洋
当社は、インターネット・インフラの発展と共に進化する企業を目指して、第1世代の学術研究に続く、第2世代の商用化から第3世代のキャリアISPへの発展期に創業しました。
当社設立後の大きな転換点は、以下の4点であります。
[1]1997年~:日本初の商用IX(インターネットエクスチェンジ)の設立
[2]1998年~:NTTドコモ殿とのモバイル・インターネットの共同事業
[3]2000年~:iDC(インターネット・データセンター)事業の開始
[4]2001年~:BBX(ブロードバンドエクスチェンジ)事業の準備
以上のような歴史的な転換を創出する中で、成長性と共に将来的に高収益を見込める事業の方向性を模索してきました。「ブロードバンド」時代の到来を目前に迎え、当社としては、インターネットが接続ビジネスから応用ビジネスへと拡大する中で、当社のコアコンピタンス(インフラ運用技術)を基本にした「発散と収束」「選択と集中」の段階に来たものと考えております。
そこで、以下のようなコア事業と周辺コア事業の連携方針を軸に、4つの基本方針に基づき、事業を拡大していく所存であります。
◆第1の基本方針
株主の皆様のご支援を得て、株式上場後積極的な人材獲得を行ってまいりました。お蔭様で、技術者だけでなく、経営ノウハウをもつ人材を確保することができました。IX、iDC、BBX事業などインターネット・インフラ運用事業をコア事業とみなし、今後は、技術支援に留まらず、合弁事業などにおいても積極的に出資比率を高め、経営責任を担っていこうという決断を致しました。これは、新事業のBBXだけでなく、既に着手済みの事業(IX、iDCなど)に対してもバックフィットをかけ、重点指向を明確化してまいります。 同事業分野は、従来の第一種電気通信事業者ほどではありませんが、設備産業的要素が強く、一般的には事業開始から3~5年程度の累損解消期間を要するものと考えられます。従って、同事業分野に積極的な投資を行った場合の連結決算に対する影響は、従来以上に大きなものとなる可能性があります。しかし、このようなコア事業への投資は、米国や日本におけるIX、iDC事業で実証済みのように、累損解消後は極めて高い収益性と安定性が得られるという特質を有しています。
◆第2の基本方針
『コア事業』を支援する「IT人材育成事業」「24時間運用・保守事業」「カスタマーサポート事業」「Web構築支援事業」「Eコマース支援事業」「ブロードバンド・コンテンツ制作支援事業」「ブロードバンド・プラットフォーム開発支援事業」などを周辺コア事業として位置付けます。
同事業分野は投資額が小額で済み、即効性の高い事業が中心ですが、引き続き選別投資を進めてまいります。周辺コア事業は、当社のコアコンピタンスをもとに周辺事業パートナーとの合弁事業が主体になりますので、持分法適用関連会社が主体となります。事業パートナーとしましては、既にリアルビジネスとしての基盤が確立した優良企業を選定していく方針であります。
この結果、周辺コア事業が連結決算に与える影響は、比較的早期にプラスに作用する見通しを持っております。
◆第3の基本方針
技術のリーダーシップと高い成長性を求める『コア事業』と、比較的早期に安定した収益性を求める『周辺コア事業』のバランスの取れた経営体制を確立するために、コーポレートガバナンスを基本とした経営体制の強化を行ってまいります。
◆第4の基本方針
モバイルとブロードバンドというインターネットの新たな発展段階を迎え、日本経済にとってもIT分野におけるオリジナル技術の確立が重要になってきております。
この点については、安易な海外技術の導入に留まることなく、政府機関・学術機関との連携を深め、当社も参画を要請された第4世代モバイルの研究開発などにも積極的に関与していく所存であります。
2001年2月4日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋