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所長コラム

株主の皆様へ(第18回)

『 IRI本体とBBTowerでの新規資金調達の意義とグループ戦略 』

藤原 洋

 株式会社インターネット総合研究所は、創業以来、一貫してIPネットワークインフラの構築・運用に関わる事業展開を行ってまいりました。昨年3月末、上場調達資金によって、米国企業との合弁会社グローバルセンタージャパン(旧、米グローバルセンター社の日本法人でiDC【インターネット・データセンター】の元祖)を連結子会社化し、株式会社ブロードバンドタワー【BBTower】として新たなスタートを切りました。同社は、IRI グループのコア事業であり、念願の日本発本格的BB時代に対応するiDCサービスを具現化しつつある企業へと成長致しました。財務的にも2億円/月の赤字企業から単月黒字化を達成し、さらなる成長フェーズに入ることとなりました。今回、この重要連結子会社であるBBTowerへの6億円の資金調達と、IRI本体のブロードバンドに続くユビキタスIPプラットフォーム/ネットワーク関連事業を立ち上げるために10億円の資金調達が決定しましたので、その意義と戦略についてご報告させて頂きます。

1.BBTower:6億円の資金調達(7月18日同社取締役会決議)

 今回の第三者割当増資は、ソフトバンク・インベストメント株式会社(本社:東京都港区、代表取締役CEO:北尾 吉孝、以下SBI)の運用するファンドが引受け、その新株式の総発行価額は6億円で、増資後の資本金は11億6,195万円、出資比率は24.78%となります。
 連結子会社のグループ戦略としては、BBTowerを3つの特徴、すなわち「コア事業」「優良企業」「独立した資金調達力」を有する独立フェーズに入ったと位置づけております。このため、月次黒字化後の更なる成長のための資本業務提携を戦略的パートナーとしてSBI殿と行いました。

【資金調達の背景と目的】
 一時は、iDC事業への参入ラッシュが相次ぎましたが、ここ数年は、外資系キャリアやソフトウェア会社系のiDCの撤退が多発したため、同事業分野における淘汰が進行しました。現在では、技術力・資金力両面での総合力が要求される激しい競争分野となったため、供給過剰状態から一転し、勝ち残った同社への引越し需要が急増している状況です。このBBTower勝ち残りの背景としては、益々、高度化するITへの要求に対応可能な設備とインターネット分野での先駆的なエンジニア集団としての技術サポート力にあると自負しております。日本最大のポータルサイト ヤフーをはじめとする数々の大規模なユーザーに対してiDCサービスを提供し、その安定した運用技術力によって、顧客からの信頼を獲得してきました。今回の資金調達によって、同社の顧客満足度を継続的に高めるために、積極的な設備投資と人材獲得による競争力の強化を行ってまいります。
 また、IRIグループとSBIグループは、ブロードバンド時代に適した証券取引システムなど高品質で信頼性の高いサービスをユーザーに提供できる環境を共同で構築し運用して参ります。

2.IRI本体:10億円の資金調達(7月22日当社取締役会決議)

 今回の第三者割当増資は、リーマン・ブラザーズ・コマーシャル・コーポレーション・アジア・ リミテッド(本社:Level 38, One Pacific Place, 88 Queensway, Hong Kong)が引受け、その新株式の総発行価額は10億円で、2億円ずつ2003年10/12月、2004年3/6/9月の5回に分けて発行します。
 株価算定は、40日間の算定期間中の平均値から算定されます。このリーマンブラザーズ社との第三者割当増資に関する合意内容は、成長継続が必要な当社にとっては、東証マザーズ上場企業として、時価総額、流動性等の総合評価に対して最適の資金調達手法であると考えております。

【資金調達の背景と目的】
 当社は、上場以来、公募調達資金に基いて、iDCおよびブロードバンド関連分野における連結子会社に対する資金・人材面での事業投資を行ってきました。2003年6月期に、ほぼその立ち上げ時期を終了し、前述のBBTower等の連結子会社が、自立成長過程に入ったため、今年度は、連結黒字を見込む段階に到達しました。現在、IRI本体では、iDC、ブロードバンドに続く当社の新たな成長分野としてユビキタスIPプラットフォーム事業およびユビキタスIPネットワークサービス事業の事業規模が急速に拡大し、IRI本体だけでも前年度比2~3倍の売上げ規模を見込んでおります。今回の調達資金は、主として、このようなユビキタス関連事業におけるIRI本体での運転資金ニーズに対応するために、無借金経営を維持しつつ、事業規模の拡大を図ることを目的としております。
 当社は、創業以来、ネットワーク業界において、常に産学官連携による産業創出を指向し、次世代への方向性を提示してきました。具体的には、商用IX、モバイルISP、iDC、BBX等の重要性を主張し、多くの連結対象合弁会社を設立してきました。また、設立3~6年目を迎えた各社の収益性は、段階的ではありますが、大幅に向上し、独自の資金調達力が備わりつつあります。このような状況の中で、今後のIRI本体のミッションは、具体的技術開発活動を通じて、ネットワーク業界における未踏の事業成長分野を創出することであると言えます。

 株主の皆様は、ご多用かとは存じますが、次回の株主総会、8月の決算発表会にも、是非ご参加頂きますようお願い申し上げます。相変わらず厳しい経済環境が続いておりますが、皆様のご健康とご健勝を祈念し、本年第四回目のご挨拶とさせて頂きます。

2003年7月23日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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