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所長コラム

株主の皆様へ(第24回)

『 アジア太平洋テクノロジーFast500」26位受賞報告と当社の今後の成長シナリオII 』
~ 受賞式のご報告と今秋から始動した国際展開 ~

藤原 洋

 当社は、2003年12月11日に、香港で開催された国際会計事務所であるデロイト・トウシュ・トーマツ殿が昨年から発表されている「Technology Fast500 Asia Pacific」2003の第26位にランキングされました。受賞式典には、他の日本企業7社と共に招待され、上海での用件を済ませ当日フライトで当社の荻野取締役CTO兼タウ技研社長と共に駆け付けましたが、国際的な活気溢れる会場の熱気に包まれていました。この受賞式の模様についてご報告させて頂くと共に、今秋から始動した国際展開を含む今後の成長シナリオIIについて述べさせて頂きたいと存じます。

1.ランキングの概要
  ~アジア太平洋地域成長企業50社が集結した熱気~

 11日正午、香港グランドハイヤットホテルにて、国際会計事務所デロイト トウシュ トーマツ(以下DTT)(本部・ニューヨーク)は、アジア太平洋地域におけるテクノロジー企業の成長率ランキング、第2回「アジア太平洋地域テクノロジーFast 500」の上位250社を発表し、当社は第26位にランキングされました。
「アジア太平洋地域テクノロジーFast 500」プログラムは、アジア太平洋地域全域の急成長テクノロジー企業<TMT(テクノロジー、メディア、テレコミュニケーション)産業>の過去3年間の売上高成長率を指標にしたランキングです。これは、DTTが、ネットバブル崩壊後に入念な調査検討を行った結果、売上成長率を視点とした評価が最も妥当ということで始まった統計に基づく表彰制度です。
 ランキング首位は台湾企業で過去3年間の売上高成長率20,402%のチャイニーズ ゲーマー社(オンラインゲームの研究開発会社)、2位は10,342%で中国企業のシャンダ ネットワーキング社(オンラインゲーム開発・運営)、3位は5,624%で日本企業の株式会社ジー・モード(携帯電話向けゲームコンテンツの開発・配信)となりました。また、上位250社の売上高成長率は平均で412%(昨年385%)、トップ10に至っては平均5,088%(昨年4,397%)と昨年に比べ高成長を達成しておりました。日本企業の上位100社においては、第26位の当社を含め16社がランクイン、昨年の7社から大きく増加し、韓国企業24社、オーストラリア企業22社に続く結果となりました。日本のベスト100ランキング企業は、以下の通りです。
3位ジー・モード(成長率5,624%)、5位アンジェスエムジー(2,874%)、8位フォーサイド・ドット・コム(1,671%)、26位インターネット総合研究所(578%)、27位、シーフォーテクノロジー(556%)、29位ドワンゴ(533%)、37位エッジ、41位システム・テクノロジー・アイ(372%)、44位バリューコマース(357%)、67位ネオテクノ(280%)、69位ゼンテックテクノロジー(277%)、75位ギグノシステムズ(258%)、89位イーシステム(237%)、ワークスアプリケーションズ(234%)、93位サイバーエージェント(230%)、100位フェイス(224%)
http://www.tohmatsu.co.jp/news/2003/image/press1211_2.pdf 参照)。
 また、今年の特徴としては、トップ3企業がオンラインゲーム関連であることが挙げられます。また、全体では昨年同様ソフトウェア企業の割合が38%(昨年38%)と高かったほか、ライフサイエンス企業の割合が全体の5%へ増加(昨年2%)したことも特徴的な一方で、コミュニケーション企業の占有率が15%へと減少(昨年26%)しました。昨年に引き続いての再受賞企業は、前年首位の中国企業:TCLモバイルコミュニケーション(携帯電話製造業)が2,964%で4位にランクインするなど、上位250社中67社(日本11社)あり、本ランキング企業が継続して成長を続けていることで本ランキング制度に重要な意義のあることを示しています。

2.新たな第4の成長フェーズへの準備

 日本テクノロジーFast50の第4位受賞の際に述べさせて頂いたように(第20回コラム参照)、当社は、20世紀におけるテクノロジー系新興企業から成長を遂げたキヤノン、ホンダ、ソニー等の成長の歴史に学び、社会変化から当社独自の競争型成長フェーズを定義してまいりました。
 第1フェーズ:【資金調達における競争】:技術開発基盤と事業基盤の確立
 第2フェーズ:【顧客獲得における競争】:高成長率の継続
 第3フェーズ:【株式市場における競争】:株式市場における評価の獲得
 ここで、冒頭に述べたように今回の香港での受賞式典の出席に先立ち、私と荻野取締役が上海佳路技術発展有限公司の薫治会(取締役会に相当)に出席しました。同社は、上海に本社があり、JRグループ情報系各社と当社との合弁事業企画会社ですが、約1年間にわたって、将来の共同事業パートナー企業に対するコンサルティング業務を進めながら、様々な中国市場向けの事業企画を行ってまいりました。企画会社としての事業展開の結果、中国は、正に国造りの真最中であり、低賃金の労働力を競争力の源泉にしていた過去とは様変わりで、間違いなく21世紀前半の世界経済を牽引する存在だということを再認識しました。というのは、20世紀に、多くの日本の成熟企業による対中ビジネスが、必ずしも中国社会に受け入れられてきたとは言えません。しかし、今回のアジア太平洋Fast500受賞式典に招待された50社の中23社を占めた中国企業等は、中国市場だけでなく、世界市場を視野に入れた展開を模索しています。当社は、企業文化が近い、日中成長企業間の連携を軸にした新たな中国市場開拓を今後行っていく所存であります。
 さて、事業内容は異なりますが、当社が多くを学ぶべき代表的日本企業として、キヤノン、ホンダ、ソニーがあります。これらの優良企業がベンチャー企業の枠を超えて、次なる成長を遂げる決め手となったのは、国際企業へと発展したことにあり、これは、極めて重要なポイントであると考えております。
このような背景から、今秋は、当社にとっても転換点となるいくつかの動きがありました。10月には、鉄道系IT業界の重鎮の方々から、欧州IT技術動向調査団長を仰せつかり、スウェーデン、スイス、フランスを巡り、4年に1度の通信業界イベントTELECOM2003への参加を中心とする商談も兼ねた調査活動を行いました。また、11月には、当社担当役員とIRI-USAを中心にした事業提携を目的としたルーセントテクノロジー社ベル研究所訪問を行いました。このように欧・米・アジアの各企業との連携は、成長企業にとって避けて通れない国際市場における激しい競争の準備であると思います。即ち、さらなる成長を期待されるテクノロジー系新興企業にとっての第4の成長フェーズは、【国際市場における連携と競争】であると考えております。

3.アジア太平洋地域テクノロジーFast500の26位受賞のご挨拶

 さて、今回、9月の日本テクノロジーFast50の4位受賞に加えて、アジア太平洋地域での26位受賞をさせて頂き、大変嬉しく思っております。しかしながら一方では、5年間の成長性を評価する欧州テクノロジーFast500と北米テクノロジーFast500に関する各地域の審査責任者からの詳細な説明後、3年間の評価によるアジア太平洋地域テクノロジーFast500 の緊迫した発表を聞いて、湧き上がるものがありました。とにかく、アメリカ帰りの起業家を中心としたアジアの優れたテクノロジー新興企業が台頭していることへの驚嘆と激しい競争心を覚えた一日でもありました。欧州地域や北米地域は、ITやライフサイエンス分野において洗練された新興企業群が育っていますが、大きな流れとしては全般的には成熟段階にあるという印象でした。これに対して、中国・香港、インド、マレーシア、シンガポール、韓国、台湾、日本からの参加社で構成されたアジア太平洋地域は、今後最も成長が期待できる刺激的な地域だという認識を新たにしました。
最後に、この香港での年末イベントに招待されて、二つのことを強く感じました。1つ目は、今年限りに終わることなく、必ずや来年以降も継続して招待されるよう尽力することであり、2つ目は、かかる第4の成長フェーズを準備すべき段階に来たということであります。今後ともよろしくご指導・ご支援の程お願い申し上げます。年の瀬も近づいておりますが、株主の皆様のご健康とご多幸を祈念し、香港から帰国のご挨拶とさせて頂きます。

2003年12月13日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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