株主の皆様へ(第28回)
『 業績修正と日経金融新聞掲載記事について 』
~ 業績予想と現実との乖離の有無?とその程度? ~
藤原 洋
株主の皆様には、ご存知かとは思いますが、2004年3月15日に業績予想の修正発表を行いました。通常は、決算発表ではないために記事になることは稀のようですが、業績修正予想に関わらず、日経金融新聞3月16日第4ページに本発表に関わる記事が掲載されました。日経新聞本誌は、殆どの皆様もお読みになっておられると思いますが、日経金融新聞には、当社関連記事だけでなく、限られた本誌紙面には掲載しきれない重要記事が多く記掲載されております。今回は、ご多忙な株主の皆様にこの記事掲載の内容とその意味について述べさせて頂きます。
1.日経金融新聞の記事内容
(2004年3月16日第4ページ)
以下の記事が掲載されました。
『ネット総研今期、最終黒字に転換、5億円、株売却などで』という見出しで始まっていますが、記事を要約すると、「ネット技術支援のインターネット総合研究所(4741)は15日、2004年6月期の連結最終損益が5億円の黒字(前期は14億8700万円の赤字)になる見通しと発表した。従来予想は3億4千万円の黒字。今月上場した人材派遣のパソナテック(2396)株の売却益約五億円を特別利益に計上する。売上高は予想を20億円上回り、前期比72%増の195億円を見込む。ルーターなど通信ネットワーク機器の販売が好調なほか、今期買収したネット相互接続サービス事業も寄与する。 経常損益は1億1千万円の赤字(前期は11億1500万円の赤字)となる見通し。利益率の低い機器販売の売上構成比率が高まったほか、ネット関連コンサルティングの大型案件の受注に伴い外注費用が膨らんだ。」というものです。
2.本記事掲載の意味
企業経営は、「企業理念」と「業績数値」に尽きると考えております。また、株式上場企業の経営については、さらに「成長性」という要因が不可欠であると考え、日々企業経営に取り組んでおります。しかしながら、新聞記事は、そのような経営者の想いとは独立に、発表内容を記者の眼を通じて掲載されることから、経営者は、冷静に受け止めることが重要だと思っております。その意味で、本掲載記事の本質は、「業績予想と現実との乖離の有無とその程度」にあると思われます。
業績予想と現実との乖離を避けるならば、業績予想を行わないことが最も簡単な方策であります。不言実行の価値観に従えば、それも1つの方策であり、既に安定成長域に達した多くの企業経営者の方々でさえ採用されてきた順当な方策だと思います。当社の事業内容は、時々刻々変化する激しい技術革新と企業間競争の中にあって、朝令暮改の経営判断を要求される局面が多くあることを改めてご理解頂きたく存じます。このように、業績予想を開示することには、多くの困難を伴いますが、株主の皆様に、成長過程にある新興企業の姿を出来る限り知って頂くために、敢えて当社は、以前から業績予想を開示させて頂いております。
連結売上が予想より20億円増の195億円、当期利益が3億4千万円から5億円に、経常利益予想は比較なしにマイナス1億1千円という記述になっています。さて、この業績予想と現実との乖離という意味から、この記事を読みますと、いくつかの解釈が存在し得るように思えますが、実は、当社発表では、下半期の経常黒字転換を強調したかったわけです。しかしながら、冷徹に通年度の経常赤字が記載されています。でもさすがに本記事の担当記者は、鋭いと感じました。独自の視点で、この限られた紙面の中に、事実が簡潔に書かれています。「ネット総研今期、最終黒字に転換」という株主の皆様に待ち望んで頂いていることが最初に書かれていますが、一方では、「5億円、株売却などで」という記述があり、解釈によっては"株売却がなければ最終赤字?"ともとれる内容です。少し口惜しさはあるものの、・・・がなければとか、・・・があれば、といった主観的な憶測は一切なく、淡々と現在の情報から判断できる事実だけが報道されている、極めて客観的に1つの新興企業の事業成長過程を報道していると本当に感心した次第です。
本記事の最後の部分は、冷静に、「NI事業は、もっと利益率が改善できるはずである、また、重要な本業に人手が足らないのを口実に外注依存せずに従業員を効率的に活用せよ」という記者の眼を通じた株主の皆様からのメッセージとして受け止めております。実際この部分は、既に下半期に対策を打っておりますと、リリースでお伝えしているのですが、冒頭申し上げた「企業理念」と「業績数値」に尽きるという私の言葉を再度引用し、来年度は、経常利益と当期利益の両方を業績数値で示すべく精進する所存でございます。因みに、マザーズ市場を卒業するには、前々年度の当期利益1億円以上、前年度の経常利益4億円以上という必須条件がありますので、今後共株主の皆様のご期待に応えるべく企業経営に注力してまいりたいと存じます。黒字転換年度を目指す第8期につきましては、大変な関心をお寄せ頂き重ねて御礼申し上げます。
2004年3月16日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋