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所長コラム

株主の皆様へ(第30回)

『 新たな成長フェーズに向けてのIRI-Comへの事業移管について 』
~ 2004年6月下旬開催の臨時株主総会の意味するところ ~

藤原 洋

 株主の皆様には、激動する日本経済において当社への格別のご支援を賜り誠に有難うございます。当社は、21世紀の技術革新を担うインターネット・テクノロジー企業としての皆様からのご期待に応えるべき日夜経営努力をしているところですが、本日の取締役会にて新たな経営上の意志決定を行ったことをご報告させて頂きます。今回は、ご多忙な株主の皆様にこの臨時株主総会に議案提出させて頂く背景について述べさせて頂きます。

1.臨時株主総会における会社分割によるIRI-Comへの事業移管について

 当社は、当社グループ会社の企業価値を増大させるために、コア事業を担う中核子会社であるIRIコミュニケーションズ(IRI-Com)に経営資源を集中させ、IRI本体は、ユビキタス研究所を中心とした研究開発による新規事業開発、グループ本社としてのグループ戦略立案及び関係会社管理等を行うことといたしました。そのため、これまで当社で展開してきましたIPネットワーク事業(ネットワーク・インテグレーション事業(以下「NI事業」)およびバーチャル・アクセス・サービス事業(以下「VAS事業」))を、会社分割方式によって、当社子会社である株式会社IRIコミュニケーションズに譲渡し、事業環境に即した効率的な経営や迅速な意思決定を推進して一層の事業強化を図ってまいります。

2.IRI-Comへの事業移管の意味とその背景について

 IRIは、現代資本主義の企業経営のスタイルとして、以下に示しますグループ連結経営を基本方針としております。

[1]
IRIグループは、20世紀の産業創出のもととなった技術革新が半導体技術であるとするならば、21世紀の産業創出のもととなる技術革新は、IP(Internet Protocol)であるという前提に"Everything on IP, and IP on Everything."を企業理念とした産業創出を行っていきます。
[2]
技術革新に基づく産業の創出のために不可欠な、研究開発型企業としての創造性と収益性を兼ね備えた企業体質を強固なものとするために、IRI本体とIRIグループ企業の役割分担を明確にした事業展開を行ってまいります。
[3]
第三者の共同事業パートナーとの連携と経営責任を明確にした共同事業としてIRIグループ企業を設立・再編を適宜行ってまいります。
[4]
IRI本体は、新技術と新事業の創造を担い、技術革新に基づくビジネスモデルの確立を目指し、IRIグループ企業は、確立したビジネスモデルに基づいた、シャープな意志決定と独自の資金調達を行うことができる「連邦的独立経営」を目指します。このため、市場のニーズに合致したグループ企業を株式上場させてまいります。


 以上の基本方針に則り、今回は、IPネットワークの設計・構築・共通サービスに関わる「IPネットワーク事業」をIRI-Comに移管することと致しました。

3.成長フェーズに応じた事業創造の経緯と今後の展開

 既に第24回のコラムにて述べさせて頂いたように以下の成長フェーズにてIP技術を基本にした事業創造と事業展開を行ってまいりました。

第1フェーズ: 【資金調達における競争】:技術開発基盤と事業基盤の確立
 IRI本体で蓄積したトラフィックマネジメント技術をベースに、1997年には、当時のKDD、富士通、NEC、ソニー殿などのインターネットサービスプロバイダーに呼びかけ日本初の商用IX(IX:インターネットエクスチェンジ、中でもレイヤ2IX:データリンクレイヤでのトラフィック交換)であるJPIXを合弁事業として立ち上げ運用をIRI本体で受託してまいりました。2000年には、日本初のキャリア中立型iDC(インターネットデータセンター)を当時の米アジアグローバルクロッシング殿との合弁事業であるグローバルセンタージャパンを設立し、IRI本体にて運用を受託してまいりました。その後、世界最大規模のトラフィックを発生するヤフー殿のサーバー運用を本格的に受託するためにソフトバンクグループ殿との合弁の連結子会社としてブロードバンドタワー(BBTower)に改組し、運営主体を子会社側に移行しました。

第2フェーズ: 【顧客獲得における競争】:高成長率の継続
 前フェーズで東証マザーズ第一号として株式上場を果たし、市場から調達した約100億円の資金を使って、健全な赤字期間として先行投資を行い事業規模の拡大を図ってまいりました。具体的には、デジタル家電市場を睨んだIPプラットフォーム事業を担うタウ技研の買収、パソナ殿との合弁事業としてのパソナテックへの資本参加、およびIRI本体で研究開発を行ってきたレイヤ3IX(IPレイヤでのトラフィック交換)をベースにブロードバンドエクスチェンジ(BBX)をNEC、松下電器殿などとの合弁事業を開始しました。

第3フェーズ: 【株式市場における競争】:株式市場における評価の獲得
 先行投資後の黒字化の基礎を築くべく、IRI本体では、技術力だけでなく、営業力を強化し、NI(ネットワーク・インテグレーション事業と、ダイヤルアップISPインフラ提供を行うVAS(バーチャル・アクセス・サービス)事業を平成電電殿から事業買収を行いました。第8期をもって数十億円規模の売上と10%以上の経常利益が見込める企業基盤を確立することができました。今回は、このように事業創造とビジネスモデルの確立を終了したという判断から同事業をIRI-Comに移管することを意志決定致しました。

今後は、確立した明確なビジネスモデルを有する事業主体として、BBTower(ブロードバンドコンテンツ配信拠点)、タウ技研(IPプラットフォーム)、IRI-Com (IPネットワーク)等が独立したコア事業主体としてシャープな意志決定と資金調達を行うべくパソナテックに続いて株式上場に向けて経営を行っております。また、IRI本体としましては、ベンチャー企業の次なる挑戦となる国際戦略企業への発展を目指す、第4の成長フェーズ【国際市場における連携と競争】へ向けて、ユビキタス研究所を中心とした技術戦略の立案と財務部門を中心とした国内・国際M&A戦略の立案に基づく新事業の創造を行ってまいります。
 以上に述べさせて頂いたように、IRIグループは、グループ連結経営を重視し、明確なビジネスモデルを子会社によって事業展開し、技術戦略と財務戦略を両輪とした新事業の創造をIRI本体で行ってまいります。当社は、高度成長期における総合電機メーカー型経営、現代のソニー殿、キヤノン殿に代表される国際企業型経営などから多くを学ぶ中で、当社独自の成熟経済下における高成長グループ経営モデルとして、「独立連邦型経営」を指向してまいります。
 このような企業経営戦略のもと、株主の皆様には、ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、万障繰り合わせの上、5月12日開催の第8期第三四半期決算説明会と共に、来る6月下旬開催予定の臨時株主総会にご出席賜りますようお願い申し上げます。

2004年4月21日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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