Everything on IP! & IP on Everything

HOME > IR情報 > 所長コラム

所長コラム

株主の皆様へ(第43回)

『 当社の株式分割とSBIグループとの業務提携の目指すところ 』
~ 2005年6月期の総仕上げと次年度以降の新たな局面を迎えて ~

藤原 洋

 2005年4月20日に、久々に早朝7時過ぎから当社取締役会を開催いたしました。案件は、株式分割とSBIグループとの業務提携に関するものでした。当社の取締役会は通常、定例の取締役会として月1回の開催と、これを補完する場合または緊急の決議が必要な場合には臨時取締役会を開催し対応しております。今回は、当該2案件の発表について、唐突ではという株主様からの声も届いておりますが、基本的には、中長期的な成長戦略に則ったものであることを、今回述べさせて頂きたいと存じます。また、株式分割の発表は、株式市場の取引中での発表となったのは、早朝の取締役会決定に対する即時開示の原則に準拠したものであること、SBIグループとの業務提携については、リリース文の調整に時間を要したことで、取引終了後の開示となったことを、ご報告させて頂きます。

1.株式分割に対する考え方

 株式分割を「材料」として判断される投資家の方々もいらっしゃるようですが、私自身、「材料」に則った経営は、当社には合致しないと考えております。当社にふさわしい経営スタイルとは、経営ビジョンを株主の皆様にご理解頂き、成長性を維持し、株主の皆様から頂く声をもとに経営方針を見直していくことだと考えております。この一連のプロセスの中での重要な意志決定が「材料」として受け取られることがあるかもしれませんが、これはあくまで、経営プロセスの一環であることをご理解頂きたいと存じます。
 ところで、当社にとっての株式分割の基本には、「1株の株主になって頂いた株主の方」と「新たに1株の株主になって頂く方」への想いがあります。株式は、売買されて初めて市場が成立しますが、当社の成長性や経営ビジョンを評価して頂き、1株の株主になって頂いた方に、永久に当社の株式を保有下さいという、一方的なお願いは原理的に不可能であると思っております。しかし、仮に株式を保有頂く中で、保有と売却ということを両立して頂くチャンスを創る手段があるとすれば、それが株式の分割であると考えております。これは、私共にとっても「ずっと当社の株を保有し続けて下さい」という無理なお願いを聞いて頂ける可能性を産むことになります。1株が2株になった時、その株主の方は当社の株主でいて下さると共に、新たな1株の株主が誕生するという構図ですが、勿論2株とも保有して頂くとさらに有難いことですし、さらに時間が経って4株になった時に、たとえば1株を新たな株主様にお譲り頂くことも考えられます。
 実は、このタイミングで株式分割を意志決定させて頂いた背景に、最近急速に増え始めた機関投資家の方々向けのIRミーティングがあります。株式の取引状況を見ますと明らかに大口の株主様が増加しています。このように大規模・長期保有される機関投資家の方々に注目して頂くことは、当社グループの黒字体質の定着化と成長性について、厳密で定量的な経営分析に基づくものであるため、この上ない栄誉ではありますが、一方で、発行済株式総数が一定のままであれば、大きな株主数の減少を意味します。ここに今回の株式分割の出発点があります。
 日本経済の根本を成す企業経営が間接金融型から直接金融型へ移行する中で、当社の新興株式市場マザーズ上場の第一号企業として果たすべき社会的責任は、機関投資家の方々から評価される経営を行うことと共に、個人投資家の方々にとっての資産形成を支援することであると考えております。

2.SBIグループとの業務提携について

 今回、ソフトバンク・インベストメント株式会社(SBI)北尾吉孝CEOの肝入りのプロジェクトして、100%子会社であるSBIベンチャーズ株式会社が組成・運営するブロードバンド関連ファンドへの出資とこれに伴う業務提携を行うこととしました。

 この業務提携に至った背景には、SBIと当社は、IRIグループの中核子会社の1つである株式会社ブロードバンドタワー(BBTower)の事業育成に関して、大変大きな成功体験を共有することができたことにあります。即ち、当社のブロードバンド分野における技術に立脚した事業立ち上げ能力と、SBIによるリスクキャピタルの提供、営業・マーケッティング支援(イートレード証券のWebサーバの誘致)、事業アライアンス・株式公開支援(社外取締役派遣)という付加価値提供がうまく合致したことです。
 今回の業務提携では、このBBTowerにおける共に苦労して得た貴重な成功体験をより発展させた共同事業にしていこうというものであります。SBIは、あらゆる金融グループに対して中立のファイナンスのプロフェッショナル集団であることが特長ですが、当社グループは、あらゆる通信事業者・コンテンツ事業者・電子機器メーカーに中立のテクノロジーのプロフェッショナル集団であることに共通点と補完的関係があるという共通認識に至りました。

 当社としての、今回の提携の狙いは、以下のようなことにあります。第一に、SBIVブロードバンドファンドの投資先のテクノロジー面での目利きを当社が担うことで、投資事業としての成功確率を高めるということです。第二に、当社の次の事業のコアとなる事業機会の創造にあります。即ち、今回の共同投資事業で発掘されるベンチャー企業の技術をもとに当社の新事業のコアを創ることや、双方にメリットがあれば投資先企業が当社グループ入りすることも考えられます。第三に、放送とインターネットの融合分野に重点指向する要素技術の発掘や事業機会の創造にあります。最近の新興上場企業と放送メディア上場企業間に起こった買収劇において、SBIは、事業に対する中立的な立場と双方の株主利益を両立させるために大きな役割を果たしました。この結果、SBIは、伝統的な放送業界と新興企業経営者の両方に高い評価を得ています。また、私個人もインターネット業界が出来る前に、最も注力してきたのがデジタル信号処理技術に基づく動画像符号化の研究開発と国際標準化(MPEG)であったため、放送業界の技術系の方々とは親交が多くありますので、放送とインターネットの融合分野に大きなビジネスチャンスが生まれるものと期待しております。

 以上、ご報告しましたように、今回発表いたしました株式分割およびSBIグループとの業務提携は、今後の継続的成長を意図した意志決定であることをご理解頂ければ幸いでございます。今後、当社が意思決定した結果のご報告事項は、増加することになろうかと思いますが、今後共、ご支援の程宜しくお願い申し上げます。

2005年4月22日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

ページTopへ