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所長コラム

株主の皆様へ(第44回)

『 IRIユビテックの上場承認のご報告 』
~ 直接金融型連邦独立経営を進めるIRIグループの第一の成果 ~

藤原 洋

 大型連休も終わり、一進一退の気温変化を伴いながら、2005年の初夏へ向う今日この頃ですが、株主の皆様におかれましては、IRI子会社の上場承認を心待ちにして頂いたものとお察し致します。このような状況の中で、図らずもIRIが第三四半期決算報告会を開催させて頂いた5月13日夕刻、大阪証券取引所からヘラクレス市場での当社子会社の株式会社IRIユビテック(以下、IRIユビテック)の上場承認が正式発表されましたことを改めてご報告させて頂きます。今回の上場承認発表を、皆様と同様に私も感無量の想いでヘラクレスのホームページ上で確認をいたしました。そこで、今回は、IRIグループの経営戦略上、新たなフェーズへの転換を意味する、IRIユビテックの上場承認の背景と意義について述べさせて頂きます。

1.IRIの連邦型独立経営にとってのグループ会社上場とは?

 今回のIRIユビテックの上場承認は、IRIグループが社会から与えられた役割を果たすために考案した「連邦型独立経営」モデルを最初に実現したという点において、極めて大きな意味をもつと考えております。
 IRIの「あらゆる産業にIPを!」という企業理念が生まれた背景には、IP技術をコアにしたデジタル情報革命の進展があります。これは、正に百年に一度の産業革命であり、これまでの社会構造を根本的に変えていくものと思われますが、この技術革新がもたらす変化の一つとして金融システムの変化があります。
 即ち、技術革新を担うべき企業の成長メカニズムが、間接金融型から直接金融型へと移行する中で、当社は、この金融システムの変化を積極的に活用した経営戦略である「直接金融型連邦独立経営」を標榜しております。それは、独立性の強いグループ会社が、上場することで、上場株式を用い、担当事業ドメインの中で、シャープで迅速な意志決定によって、事業投資やM&Aによって高い成長率を獲得できるものと確信しております。
 低金利に象徴される成熟した資本主義社会においては、間接金融型の従来産業が成長性と雇用能力を喪失する中で、今回のIRIユビテックの上場承認は、IRIグループにおける初めての直接金融活用ビジネスの成果であります。また、デジタル情報革命の発信源が20世紀末の米国集中からブロードバンド/モバイルとその先にあるユビキタス・ネットワーク環境においては、日本を中心としたアジアに移行しつつあります。企業金融という経済発展の根本を担う資金循環を革新する上で、技術革新を担う企業自身が、日本経済、ひいては世界経済の発展に対して先鞭をつけるということに、極めて大きな意義があると思っております。

2.IRIとIRIグループの企業価値とは?

 IRIグループは、産業界が必要とする最先端のIPテクノロジーを提供するために、最適なビジネスモデルを企画し実現する「IPテクノロジー・ビジネス・インキュベータ」であり、「直接金融のメリット」を活用した成長モデルを実現する企業です。従って、最終製品・最終サービスは、IRIグループの顧客、即ち、NTT/KDDI/ソフトバンク殿など通信事業者、ヤフー/Usen/楽天殿などコンテンツ事業者、およびシャープ/オムロン/松下電工/NEC/日立/富士通殿など電子機器メーカーなどから提供される仕組みになっています。この結果以下のような一般式で当社の企業価値を表現することができます。

IRIの企業価値= IRI本体のビジネス・インキュベーション能力
+Σ(各子会社の企業価値×IRIの持株比率)
+現金・預金

 尚、IRI本体のビジネス・インキュベーション能力とは、以下の4点に集約されます。
(1)IPテクノロジーの最先端技術の専門家集団+コーポレート・ファイナンスの専門家集団+コンプライアンス型法務の専門家集団 というプロフェショナルの集合体
(2)ビジネス企画力:3つのパターン(考案・改良・転換(既存事業のIP化)で最適なビジネス企画を行い、事業パートナー【NTT、東京電力、NEC、キヤノン、松下電工、総合商社、外資系等】を選択し合弁事業を立ち上げる実行力
⇒実例:BBTower、BBX/ICO(現IRI-Com)、IRI-CT
(3)人材育成/獲得力:新規事業立上げに最適な人材を育成/獲得する実行力
⇒実例:IRI-Com、PoD
(4)M&A力:成長にとって最適な外部企業/外部事業を友好的に取込む実行力
⇒実例:IRIユビテック、ファイバーテック
 以上のような企業価値決定モデルに基づきグループ会社の上場がIRIの企業価値増大に寄与する場合は、IRIグループ企業の上場によるメリットをIRI株主の皆様に享受して頂きたいと考えております。

3.ユビキタスネットワーク時代のエンジン供給企業IRIユビテックとは?

 とにかく企業を上場させるということは、広く個人投資家や機関投資家の方々からの投資を受けるという意味において、大変なことだと認識しております。企業価値は、代表取締役をはじめとする経営者による影響が最も大きい訳ですが、今回のIRIユビテックの上場承認は、荻野司氏という、現在もIRIグループ全体のテクノロジービジョンを描くユビキタス研究所のリーダー(前IRI取締役CTO)として技術革新を担えるエンジニア出身の逸材経営者の存在、加えてビジョナリ・リーダーを支える経験豊富な経営陣と優秀な従業員、そして同技術分野での世界的権威者の社外役員の存在があって初めてできたことだと思っております。
 また、一方では、上場するとはどういうことかをIRIグループの一翼を担うコア企業が直接的に対峙することで、IRIグループ全体の株主・顧客・従業員の利益をどう最適化し企業価値を最大化するかについて取り組んでいくことができる体制ができるものと考えます。
 ユビテックの前身であるタウ技研【株】は、1977年設立の伝統ある電子機器開発企業で、1986年に新日鉄グループ入りを契機に、「受託生産に基づく工場をもたない顧客ブランド製品用システム部品メーカー」として、90年代に強固な顧客基盤を築いてきました。2001年4月、IRIグループ入り後は、顧客基盤の維持・発展と急速な技術革新に対応可能なように、伝統を活かしつつ段階的な経営陣の若返りとIRIユビキタス研究所のユビテックへの移管による構造改革を行ってきました。この一連の構造改革の結果、ユビキタスネットワーク時代にふさわしい研究開発型テクノロジーベンチャー企業へと変貌を遂げました。今年度は、IRIグループ全体での売上よりも利益率重視の経営方針の下、従来からの受託生産案件を終了し(約20億円相当分)、顧客との共同開発案件への重点指向を強化したため、5月13日にIRIユビテック発表の2005年(平成17年)6月通期での売上見通しは、4433百万円(前年度6499)、経常利益461百万円(前年度427)、経常利益率10.4%(前年度6.6)となっております。
 以上ご報告させて頂きましたように、Imaging&Sensing&Networking-Ubiquitous Core technology-を標榜するIRIユビテックの大証ヘラクレス市場への上場承認が発表されました。これもひとえに、旧タウ技研の株式取得、ユビキタスネットワーク時代へ向けての先行投資など、IRI上場後5年間にわたって、IRIの経営ビジョンに対するご理解を頂きました株主の皆様からのご協力・ご支援の賜物だと感じております。ここに改めて御礼申し上げます。じっくりと時間をかけて株主の皆様に育てて頂いた、確固としたテクノロジー・コアが存在するビジネスは、成長性と安定性を伴い、きっと株主の皆様のご期待に応えることのできる成果を産むものと確信しておりますので、今後共変わらぬご支援をお願いして、IRIユビテック上場承認のご報告を終わらせて頂きます。

2005年5月15日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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