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所長コラム

株主の皆様へ(第45回)

『 IRIグループにとっての2005年5月26日 』
~ 日本経団連定時総会と大証ヘラクレス新規上場申請凍結発表 ~

藤原 洋

 初夏の頃、株主の皆様におかれましては、去る5月13日夕刻の当社子会社の(株)IRIユビテックの大証ヘラクレス上場承認の吉報をお聞き頂き、また、5月23日に開始したヤフー(株)と当社子会社の(株)ブロードバンドタワー共同制作・配信の「ニッポンの挑戦シリーズ~インターネットの夜明け前編~」をお楽しみ頂いていたものとお察し致します。このような状況の中で、図らずも5月26日昼、大阪証券取引所ヘラクレス市場での新規上場申請凍結のニュースが流れ、株式市場の混乱が起こりました。ちょうどその報道と株式市場の混乱があった頃、当社が昨年入会しました日本経団連の定時総会が開催され、私自身はそこへ出席し、総会会場から、広報IR部門と電子メールで対応策について連絡を取り合っておりました。ようやく週末に株式市場が落ち着きを取り戻し始めたことで、株主の皆様も何とか安堵されたこととお察し致します。真実は、混乱の中で浮き彫りになり、人は、混乱の中で初めて自分で考えると言います。そこで、今回は、私なりに、色々な意味で、混乱の5月26日に考えたことについて、述べさせて頂きます。

1.日本経団連定時総会日での大証ヘラクレス新規上場申請凍結発表とは?

 2005年5月26日は、かなり前から予定されていた第四回日本経団連定時総会日でした。当社は、新興企業では珍しく、楽天(株)よりも少し前に、昨年2月に入会承認され、私にとっては、初めての総会出席でした。奥田トヨタ自動車会長はじめ日本経済の中枢を支える企業の代表が勢揃いし、郵政民営化という重要法案審議中の国会会期中にも関わらず、小泉総理、中川経済産業大臣、町村外務大臣、谷垣財務大臣から、来賓スピーチがありました。次期会長人事にとっても重要な新副会長選任や新経団連会館建設などの議案承認の後、交流会が開催されたのでした。当社としては、当社グループ売上の多くを占める経団連会員企業トップとの交流は、重要であり、極めて効率的にその場を活用させて頂きました。一方では、グループ売上に占める新興企業群(主として上場企業)の成長が著しいため、新興企業向けのビジネスも急増しております。
 さて、交流会には、報道機関の参加も認められたため、新会長候補と目される人々が、記者の方々に取り囲まれる場面が多くありました。私の場合、ここでは年齢的に若年層になるらしく、記者の方々の目に留まったようで、色々と意見交換をさせて頂く機会がもてました。私の方からは、主要新聞、テレビ局の経済担当記者の方々に対して、大証ヘラクレス市場で新規上場申請凍結報道に関する感想を聞いてみたところ、殆んどの方々が、ご存知なかったことに驚きました。私からの質問でその件を初めてお知りになった方々が大半だったわけですが、多くの報道機関の方々は、一様に驚いておられました。この記者の方々にとって、驚きの中身を聞いてみると、極めて興味深いことがわかりました。それは、増設を続けても情報システムの処理が追いつかないほど新興市場の株式取引、特にインターネットによる取引が増加しているということに対してなのでした。私は、たまたま、日本経団連の定時総会/交流会に参加している中で、このことについて考える機会を得たことが、今回の再認識につながりました。即ち、経団連企業が、確かに日本経済の中枢を担っていることは事実ですが、いつの間にか、新しいエコノミーが、実は、別のところに芽生えていて、確かな流れとなっているという再認識です。
 低金利に象徴される成熟した資本主義社会においては、間接金融型の従来産業が成長性と雇用能力を喪失する中で、新興企業が、直接金融の仕組みを活用して成長することに、極めて大きな意義があります。この意味において、今回の大証ヘラクレスのシステム容量オーバーという事態は、先週末の株式市場に一時的な混乱を招きましたが、新しいエコノミーの到来という点に、本質があるものと思われます。

2.IRIグループにとって今回の大証新規上場申請凍結発表の影響とは?

 IRIグループは、最先端のIPテクノロジーを産業界へ提供するために、最適なビジネスモデルを企画し実現する「IPテクノロジー・ビジネス・インキュベータ」であり、「直接金融のメリット」を活用した成長モデルを実現する企業です。前回のコラムでも述べましたように以下のような一般式で当社の企業価値を表現することができます。

IRIの企業価値= IRI本体のビジネス・インキュベーション能力
+Σ(各子会社の企業価値×IRIの持株比率)
+現金・預金

従って、連邦型独立経営を進めることで企業価値向上の連鎖を意図しているIRIグループにとって、ブランドと顧客獲得において独立性の高い子会社の上場は、企業価値を顕在化させるために、極めて重要な意味を持ちます。
 この意味において、来る6月14日予定のIRIユビテックの上場は、当社にとって現段階における最重要事項であり、細心の注意を払って見守っておりますが、大証ヘラクレス市場の公式見解として、新規上場申請を凍結するということが主旨であり、IRIユビテックの上場については予定通りということであります。
 一方、新たなエコノミーとして、株式市場における関心が、成長性の高い新興市場へ移行しつつある状況の中での今後の新規申請凍結は、この夏頃までの新規上場銘柄に投資対象が集中することが想定されます。このことからも、大証ヘラクレス市場のシステム処理性能の一日も早い増強と新規申請の再開を望む次第であります。
 以上ご報告させて頂きましたように、当社の企業価値向上において独立事業型子会社の上場は、極めて経営戦略上重要であり、予定通り進行中であります。また、IRIユビテックに続く子会社群の上場についても段階的に準備を進めておりますが、大証ヘラクレス市場における新規申請凍結のマイナス面の影響は、殆んどないものと考えております。むしろ、新たなエコノミーの到来が再認識されるきっかけとなると共に、インターネットの重要性をより取り入れた社会システムの再構築へ向う機運が高まったことは、「あらゆる産業にIP(インターネットプロトコル)技術を適用する」を企業理念とする当社にとってはプラス面が多いと考えております。
 約400年におよぶ産業革命史を紐解いた時、技術革新を原動力とする社会の発展過程における混乱は、止むを得ない場合もあると思われます。当社は、技術革新の牽引者として、変化の本質を捉え、むしろ混乱をプラスに転じることのできる企業としての強さを備えていきたいと考えております。株主の皆様には、このような背景の下、当社の役割をご理解頂くために「ニッポンの挑戦シリーズ~インターネットの夜明け前編~」(http://yoake.yahoo.co.jp/)を是非ご覧頂きたく、今後共変わらぬご支援をお願いして、「2005年5月26日に考えたこと」のご報告を終わらせて頂きます。


2005年5月30日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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