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所長コラム

株主の皆様へ(第46回)

『 2005年6月期業績予想修正の背景について 』
~前期6億円の経常赤字からの13億円の改善計画は9.7億円に留まり
当期3.7億円の経常黒字の見込み~

藤原 洋

 去る6月14日の当社子会社の株式会社IRIユビテック(以下、IRIユビテック)の大阪証券取引所ヘラクレス市場への上場につきましては、株主の皆様のご支援により当社グループにおけるユビキタス分野のコアとなるIPプラットフォーム事業を担う会社として、スタートを切ることができましたことを、ここに改めて御礼申し上げます。一方では、当事業年度の期首に立てました連結業績予想につきましては、当社グループ全体での業績見直しにより、本日業績予想修正を発表させて頂きました。そこで、今回は、この連結業績予想修正の背景について述べさせて頂きます。

1.業績予想修正の背景

 連結売上高につきましては、連結子会社である株式会社ブロードバンドタワー(以下、BBTower)の上方修正がありましたが、IRIユビテックにおいて、旧型液晶テレビ内蔵映像エンジンボードの受託製造案件(約20億円分)を終了し、高利益率の研究開発型案件に重点指向することとしました。また、当社単体のコンサルティング事業を縮小し、関係会社管理業務と新規事業開発業務に重点指向したことによる約5.6億円分の売上減少が、売上予想数値修正の主要因であります。
 営業利益及び経常利益につきましては、連結子会社であるBBTowerとIRIユビテックの好業績が貢献しました。一方、連結子会社である株式会社IRIコミュニケーションズ(以下、IRI-Com)において、前期の約6億円の営業赤字に対して今期5億円の営業黒字とするという約11億円の利益改善目標を立てておりましたが、利益改善幅は約7億円となり、営業黒字が1億円となる見通しとなりました。また、IRI単体においては、関係会社管理業務と新規事業開発業務への重点指向による売上高の減少及び経費の増加により当初予定よりも営業利益が約2.3億円悪化したことが利益予想修正の主要因であります。特に、IRI-Comの利益予想修正要因は、ISP向けダイヤルアップ接続事業であるVAS(ヴァーチャル・アクセス・サービス)事業の大幅拡大を計画しておりましたが、小幅成長に留まったことと、合併により株式会社ブロードバンド・エクスチェンジ(以下、BBX)から承継した、赤字事業であったブロードバンド・エクスチェンジ(BEX)事業の単月黒字化が当初計画よりも約半年遅延したことなどによるものであります。
 当期純利益につきましては、上記の経常利益までの予想修正によるものの他、前述のとおり、IRIユビテックが平成17年6月14日に大阪証券取引所ヘラクレス市場に上場しましたが、IRIユビテックの高い成長性が期待されるため上場時における当社の株式売出数は最小限の800株に抑えたため、特別利益として約3.2億円(単体ベース)の株式売却益の計上となりました。他方、IRI-Comにおいて旧BBXが契約していたリース契約を解約したことに伴うリース解約損失などによる一時的な損失を計上することとしました。

2.今期の現状と来期の見通しについて

 IRIグループは、東証マザーズ上場後、一貫して3本の事業の柱を立てるべく約5年間にわたって先行投資を続けてまいりました。その第一の柱となったのが、情報家電・産業用電子機器メーカーを顧客とするIRIユビテックであり、今期売上約44億円/経常利益4.6億円を見込んでおります。第二の柱となったBBTowerは、前期と比較して大幅に業績を拡大させております。最後の先行投資の集大成であり第三の柱となりつつあるIRI-Comは、当初の計画には達しませんが、上述しましたとおり、前期の約6億円の営業赤字から今期は約1億円の営業黒字と黒字転換を果たす見通しとなりました。

 以上に要約しましたように当社グループの連結業績は、IRIユビテック、BBTower、IRI-Comの3社が大部分を占めております。今回残念ながら業績予想修正をせざるを得ない見通しとなりましたが、IRIユビテックとBBTowerは、安定的な利益成長が見込める強い事業基盤が確立しております。また、IRI-Comは、11億円の営業利益改善計画には到達できない見通しですが、前期の約6億円の営業赤字から7億円の改善というグループにおいて最大の利益改善を達成したことは、来期に向けての大きなステップであると考えております。特に、VAS事業は堅調に推移しているものの、ダイヤルアップ接続のため今後の急拡大は望めませんが、ブロードバンド時代のコンテンツ事業者とブロードバンド通信事業者間のトラフィック交換を担うBEX事業が半年遅れながら損益分岐点を超えたことは、今後のブロードバンドインフラを用いた放送型インターネット時代の幕開けの前に確かな手応えを得ることができました。

 さて、今期は、グループ会社の事業支援・上場支援などに注力してきたIRI本体も来期にさらなる飛躍を行えるよう次期事業のインキュベーションに既にとりかかっております。さらに、第四、第五の柱となるべく、株式会社プロデュースオンデマンド、株式会社IRIコマースアンドテクノロジー、ファイバーテック株式会社も来期以降早期の段階で、売上高10億円規模の事業となる成長見通しであります。

 当事業年度期初計画に対する未達成につきましては、真摯に受け止めておりますが、この残念さをエネルギーとして今期得た確かな手応えをもとに、来期以降、目標へ向かって邁進してまいりたいと考えております。なお、今後の具体的な事業計画とその進捗、および精緻な業績予想については十分に詰め、近々発表させて頂く予定であります。これにて、業績予想修正の背景説明を終わらせて頂きますが、引き続き変わらぬご支援ご鞭撻の程お願い申し上げます。

2005年6月20日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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