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所長コラム

株主の皆様へ(第57回)

連邦型独立経営における非常時対策のご報告
~対策とネットワーク事業の展開方針について~

藤原 洋

 株主の皆様におかれましては、秋たけなわの季節を迎え如何お過ごしでしょうか。このたびは、連結黒字2桁確保の業績予想の中で、当社の連結子会社の株式会社IRIコミュニケーションズ(以下、IRI-Com)が、去る10月3日に突然の平成電電株式会社(以下、「平成電電」)の民事再生手続き開始の通知を受けた影響に対して、大変なご心配をおかけしております。その後の約10日間にわたって状況把握と対策に取り組んでまいりました。この間に、当社グループの基幹事業の1つに育ちつつあるIRI-Comの主要顧客の1つである、平成電電の民事再生に伴うボトムラインの精査を行い、株主の皆様にとっての企業価値保全と、公共性の高いネットワーク業界でのインターネット関連技術の中核を担う企業としての安定性保全のための対策を行いましたので、ここにご報告させていただきます。

1.連邦型独立経営

 当社は、1999年12月の上場以来、子会社上場を企業グループ成長の原動力として推進してきました。株主のお蔭様をもちまして、2005年には、株式会社IRIユビテックおよび株式会社ブロードバンドタワー(BBTower)が、ともに大証ヘラクレスへの上場を果たすことができました。また、当社が第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行による株式会社アイ・エックス・アイ(以下、IXI)株式のTOBによる取得で、IXIがグループ入りできましたことにご理解を頂いたと認識しております。この結果、当社が掲げている「IRI連邦」は、連結事業子会社7社、持分法適用事業会社2社をかかえる合計9社の連結対象関連会社による企業グループに成長することができましたことを改めて御礼申し上げます。各関連会社は、平時の際には、独立的な経営判断によって事業展開を行っておりますが、一方、非常時の際は、グループ全社が結束して対策に当たるという認識を共有して取り組んでおります。従って、喩えますと、「1つの州」に災害が起こったとしても他の州の連携によって州への災害対策支援を速やか行い、復興を果たす仕組みを形成してまいりました。

2.IRI-Comが受けた影響とその対策について
~MSCBの背景にある直接金融と間接金融のバランスとは?~

 IRI-Comは、当社グループにおける第三の柱に成長した最重要グループ企業の1つですが、歴史的には、創業以来、三大通信キャリアグループに対して、中立的に技術支援事業を行ってきたエンジニアチームで構成されております。ここ3年は、これら社会インフラを支えている三社グループに加えて、多くの新興通信キャリア企業に対しても技術支援事業を展開してまいりました。この結果、前年度の売上約80億円、営業利益1.5億円にまで成長することができました。

 同社の顧客は、公共性が高く多額の設備投資を伴う通信事業者が多い中、新興通信キャリアに対する事業では、大手通信機メーカー、大手通信工事事業者と協調して進めてまいりました。企業間競争の中にあっても、協調してサービスの安定性に尽力しているネットワーク業界において、平成電電による突然の民事再生法申請の通知は、IRI-Comだけでなく協調して取り組んできた関連企業に大きな衝撃を与えました。このことは、誠に遺憾であり、特にIRI-Comにとっては、大きな試練となりました。このような状況において、多くの通信事業者のネットワーク・サービス全体の安定性の確保は、当該事業者だけでなく、これに関わるネットワーク業界全体の共通課題であると考えております。当社グループは、電話網からIP網へと進化するネットワーク業界のインターネット関連技術の中核を担う企業として、如何なる災害時においても企業活動モラルに則った事業展開を行うことが、当社グループに課せられた使命であると考えております。このようなIRI-Comにとっての大きな試練の中、このような事態を最小限に留めると共に、収益基盤の回復のための施策を整備する中、対策案を検討してまいりました。この結果、10月13日の当社の取締役会において、株主の皆様に対する企業価値保全と顧客・協調企業の皆様に対する信用保全、そしてさらなる成長継続による企業価値増大のための判断として、IRI-Comが受けた業績への影響額の整理を行い、ボトムラインとしての連結業績の予想修正とこれに関わる資金準備を行うことといたしました。

3.ファイバーテックの増資について

  さて、一方では、今回の当社の取締役会においては、当社の完全子会社である株式会社ファイバーテック(以下、ファイバーテック)の株主割当増資を引受る旨の決議もいたしました。ファイバーテックは、IRIグループの次世代を担うべき「IPメディカル事業」のコア企業として位置づけておりますが、今回の株主割当増資の引受けによって、当社持株数は、大幅に増加することとなります。これは、将来の株式上場を目指すファイバーテックにおける成長資金に充当されるものであります。このファイバーテックの増資は、IRI-Com対策という「守りの戦い」の中での「攻めの戦い」であることをご理解いただきたく重ねてご報告させていただきます。

4.2006年6月期の業績について

 今回の当社の取締役会決議を踏まえ、平成電電の民事再生への対策による業績予想のボトムラインは、ようやく見えてきたと考えております。私の決意としては、非常時の際においてこそ、企業のあるべき姿勢を提示することで、ネットワーク業界におけるより中心的な役割を担うと共に、最終当期利黒字を達成すべく、今後も尽力いたす所存でございます。

 株主の皆様には、今後とも変わらぬご支援の程お願い申し上げます。来る11月中旬には、IXIの当社グループ入り後、初の第10期の第1四半期決算発表を行いますので、第1四半期決算発表会にもお越し頂きますよう重ねてお願い申し上げます。

2005年10月14日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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