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所長コラム

株主の皆様へ(第61回)

『IPエデュケーション事業』の開始について
~偉大なるDEC社の伝統を継承し21世紀の技術革新を担う人材開発へ~

藤原 洋

 例年になく厳しい寒さが続く中、特に雪国にお住まいの株主の皆様にはご無事を祈念する今日この頃でございます。さて、新年のご挨拶にも述べましたように、前年度でグループ全体の黒字基調を整備することができましたので、今年は技術革新のフェーズ・チェンジ(「モバイル/ブロードバンド」→「ユビキタス/通信放送融合」)に入ると思われることもあり、更なる「インターネット・テクロジー・カンパニーの使命として」いくつかの新規事業を立ち上げてまいりたいと考えております。その一環として、当社は、平成18年1月17日開催の取締役会承認および同日のグルーバルナレッジネットワーク株式会社(以下、"GKN#)の株主総会決議を経て、当社を割当先とするGKNが発行する新株予約権付社債および新株予約権について、総額約10億円相当の引受について引受契約締結をいたしましたので、その背景と今後の事業戦略について述べさせて頂きます。なお、当社が新株予約権付社債および新株予約権について、新株予約権をすべて行使した場合には、当社のGKNに対する所有割合は80.00%となる予定であります。

1. 今、何故、『IPエデュケーション事業』なのか?

 IP(インターネット・プロトコル)は、21世紀の産業構造を変える技術革新として、ITに留まらずあらゆる産業分野に大きな影響を及ぼし始めています。当社は、このIPによる技術革新の担い手となることをミッションとして創業した企業でありますが、株主の皆様の多大なるご支援によって、創業10年目を迎え、多くの「人材」を獲得し、育成することができました。これは、当社グループの役職員約500名が、IPという共通の言語・技術・価値観を持ちつつ、学術研究から産業応用へという実践的プロセスを経て、初めてできたことだと考えております。グループの事業規模が大きくなるにつれて、「当社グループのコアコンピタンスは、どんなビジネスモデルですか?」という質問を受けることが多くなりましたが、「一過性のビジネスモデルではなく、人材に尽きます」と即座に回答しています。産業革命の歴史を振り返ると、封建時代の規範であった「土地」から「モノ」そして「情報」へと変化してきましたが、情報は、「人材」によって発信され受信されることで、価値を産みだします。このような背景から当社グループのコアコンピタンスは、1996年の創業以来IP時代に適した「人材」であると考えてきました。
 さて、国際社会に目を向けてみると、20世紀は戦争の世紀といわれ、不幸な日米対戦がありました。また、日本のバブル経済の最中には、1985年の米国「ヤングレポート」では、「対日産業政策への提言」が述べられていました。約20年が経過した2004年12月の米国技術革新サミット「パルミサーノレポート」では、状況は一変しました。同レポートは、IBMCEOであるサミュエル・パルミサーノ氏とジョージア工科大学のワイン・クロウ学長の両氏が委員長としてまとめられたものです。その提言は、当然米国の国益をもたらす政策の考え方が主な中身ですが、要点は、「対日産業政策」ではなく、むしろ「BRICs<ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)の4ヶ国を指す造語>」地域の台頭と「人材」、「投資」、「インフラストラクチャー」の3つからなっています。そして、特に「人材」に大きなウェイトがかけられています。
 このような当社グループのコアコンピタンスを活かして、国際社会のトレンドから産業界全般にわたって求められているIP時代に適した「人材育成」を行う、新たな事業として『IPエデュケーション事業』を開始することとしました。

2.GKN との『IPエデュケーション事業』開始の理由

 当社グループには、約10年に及ぶコンサルティング事業とアウトソーシング事業を行う中で、常に最先端の顧客・事業パートナーを通じたIP技術の現場があり、そこには、常に多くの人材不足と人材育成ニーズがありました。そこで、このようなニーズに対応する組織的な解決策を模索してきたわけですが、今回、GKNの新株予約権付社債および新株予約権の引受けを契機に、念願の『IPエデュケーション事業』を開始できる運びとなりました。
 GKNは、かつてメインフレームの雄IBMと共に、ミニコンの雄と呼ばれた米DEC(ディジタル・イクイップメント)社の教育部門がくしくも当社の創業と同年1996年に世界各国で独立した企業です。DEC社の優秀な人材は、技術革新と共に、その多くはCompaq社からHP社へと、また、Windows-NTの開発人材はマイクロソフト社へと継承されていきましたが、教育部門だけは、今回、幸運にも当社グループに入る可能性が生まれました。さて、日本のGKNは、伝統あるDEC社の教育部門が独立しただけあって、以下のような華々しい実績を誇っています。

■パートナー一覧
マイクロソフト株式会社
シスコシステムズ株式会社
日本オラクル株式会社
トレンドマイクロ株式会社
日本ベリサイン株式会社
Turbolinux
PMI
株式会社プレスタイム
XMLmaster

■受賞歴
* Microsoft Learning Partner Award 2005
「Microsoft CPLS Award 2005 最優秀賞」および「MCA Training Center Award 2005優秀賞」を受賞。GKNはCPLS関連アワードを10年連続で受賞。
* Oracle University Special Award 2005
2005年度オラクル研修ビジネスにおいて同社による集客伸び率がNo.1であったことが評価され、Oracle University Special Awardを受賞。
* Learning Partner of the Year(Cisco Systems 2004)「Learning Partner of the Year」を受賞。同アワードは2005年度より新設、日本ではGKN1社に授与。

 以上のような背景の下、当社グループの持つ現場ニーズとITプロフェッショナル教育の最高峰として数十億円規模の教育事業を行っているGKNと、社債等の引受けを契機に、お互いの人材交流を図る中で、当社グループの顧客企業の競争力向上を担う人材開発を支援することが可能になると確信しております。

3.『IP エデュケーション事業』の開始によって進化・深化する顧客層

 株主の皆様の多大なるご理解とご支援によって、昨年夏のIXIの当社グループ入りによる当社グループの顧客層は、通信事業者、コンテンツ事業者、電子機器メーカーから一般企業へと拡大することができました。この結果、当社グループの事業規模を大きく拡大することができました。しかしながら、冒頭に述べましたように、IP技術をコアとする技術革新の影響は、今後、IT業界に留まらず、あらゆる産業分野に波及すると見られることから、21世紀の顧客ニーズに最も合致する「人材開発」が重要だと思われます。この当社グループおよびGKNの顧客に対して、当社グループのノウハウである「実践的IP技術」とGKNの有する「基礎的なIT教育技術」とを融合させることで、双方の顧客への「実践的人材開発」に貢献することが、両社の事業発展にとって、極めて重要な意義を持つと考えております。
 株主の皆様におかれましては、2月中旬以降、主として機関投資家の皆様を対象とする決算説明会、および証券会社主催の主として個人投資家の皆様を対象とした説明会を開催させて頂きますので、お時間の許す限りご参加頂きますようお願い申し上げます。

2006年01月17日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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