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所長コラム

株主の皆様へ(第64回)

『IRIコミュニケーションズの再建方法について』

藤原 洋

  株主の皆様におかれましては、多くの方々が心新たに新年度を迎えられ期待に胸を膨らませておられることとお察し致します。当社は、前期末から当期にかけて、実に多くのイベントがありました。株主の皆様にとっての朗報は、約5年間にわたって育成してきたBBTowerとIRIユビテックという子会社2社の上場と、新たにエンタープライズ市場での強力な顧客基盤を有するIXIのグループ入り、そして、一方では、残念な事象としてIRI-Com(株式会社IRIコミュニケーションズ)の主要取引先である平成電電株式会社(平成電電)の民事再生手続開始申立がありました。その影響を受け、IRI-Comが実質債務超過に陥ったことで関係各位に大変ご心配をおかけしたことについて改めてお詫び申し上げます。本件につきましては、親会社である当社は、当社グループとしての企業価値の向上と企業としての社会的責任を果たすべくIRI-Comの再建案を模索してまいりましたが、これまでの検討経緯とこのたびまとめました再建案についてご説明させて頂きます。尚、本再建案の前提は、企業の社会的責任遂行に基づく「親会社の然るべき支援と方針」「株主責任」「経営陣の挽回責任」を明確化したもので、再建に向けての具体案として株主の皆様のご理解を頂きたくお願い申し上げます。

1. 企業の社会的責任遂行と「親会社の然るべき支援と方針」

 平成電電の民事再生手続開始申立に伴い、約45億円の未回収が発生しましたが、本件について関係者で協議した結果、IRI-Comの清算を行う案(第1案)と当社による支援再生を目指す案(第2案)とが浮上しました。この2つの案に関しては、IRI-Comにおける親会社としての然るべき支援(株式の過半数を保有し他のIRI-Com株主とは異なる株主としての社会的責任、すなわちIRI-Comの取引先、IRI-Com従業員への直接的損害の回避およびIRI-Com株主への直接的・間接的損害の回避など)を果たすべきと判断し、以下のことを遂行することとしました。
  第一に、当社としてはIRI-Comに対するリースの連帯保証の実施と事業支援融資を総額で約30億円実施しました。第二に、そのうちの約22億円のIRI-Comに対する融資については、IRI-Comの債務超過解消に向けて債権放棄することと致します(実行日5月下旬予定)。また、リースの連帯保証債務(約6億円)の履行も実施しております。第三に、当社が保有するIRI-Com既存株式については、IRI-Comに無償譲渡して消却を予定すると共に、下記に述べる減資後の事業資金を確保するため、具体的には第三者割当増資に応じる準備を行います(約15%)。

2.IRI-Comの「株主責任」

 IRI-Comの株主構成は、現在、当社約90%と他の株主約10%から成っておりますが、IRI-Comが債務超過を解消し、財務体質強化のための今後の新規第三者割当増資による資金調達を可能とするため株主平等の原則に基づき、他のIRI-Com株主も含めてIRI-Comによる減資を促すことと致しました。

3.IRI-Comの経営陣による「挽回責任」

 当社グループは、連邦型独立経営を標榜しており、基本的には、グループ各社の会議体においての経営上の意志決定に関する権限委譲を行っております。ただし、一方では企業集団の統制をはかるために、当社への事前の承認や報告等、最小限のルールを設け、これを遵守しております。今回の主要であった取引先平成電電の民事再生手続開始申立については、与信管理上の規定と意志決定プロセスに関する調査を行った結果、特に規定違反とプロセス上の問題はありませんでしたが、IRI-Comとして事実上の債務超過に陥った状況を打開するための再発防止と「挽回責任」があると認識しております。換言すれば、支払い状況が前月まで良好であったとしても継続受注案件に関わる与信管理については強化を要求しました。この結果、再発防止策として、2005年10月にIRI-Comの与信管理規定の改定を要望し即座に実行させました。さらに再建に向けて、減資後の経営陣による第三者割当増資の引き受けを促すこととしました。当社は、当社の企業文化に合った前向きの再建策として、経営陣自らが出資することで、早期での株式上場を目指し、当社を含むIRI-Comの既存株主価値を挽回することを最優先事項として位置づけることで、「挽回責任」としての遂行施策を選択しました 。

4.再出発に向けての提携パートナー企業の選定

 IRI-Comの事業は、皆様ご存知のように、旧BBX(主としてBEXサービス事業)、旧ICO(主としてMSP事業)、および旧IRIネットワーク事業部のルーティングとセキュリティ技術をコアとするNI事業の統合によって生まれた事業で、極めて技術指向が強く地味で中身のある事業であると認識しております。しかしながら一方では、強力な事業パートナー(主として発注元として)が必要な事業でもあります。その意味で平成電電(未回収にはなったが大口の顧客ではあった)に代わる強力な事業パートナー(IRIグループではBBTowerのヤフーやイートレードに相当する企業顧客)を発掘・蓄積していくことがIRI-Comの再出発の鍵を握っていると考えています。
 その意味で外部の投資ファンドをパートナー企業として資本提携を要請し、応諾を得ることが出来ました。

  最後に、本再建策の実行後、IRI-Comは、当社の連結対象から外れますが、新生IRI-Comと他のグループ企業との事業上の連携強化によって、IRI-Comの連結決算上の減収を上回る、当社グループの連結業績の向上を目指してまいります。このため、外部ファンドによる経営支援と共に、当社は、連携強化による事業支援を行いたいと考えております。これまで述べたように、今回の施策は、平成電電ショックを合理的かつ論理的に克服し、「新生IRI-Comビジネス」を短期間に成功へ導くための前向きな「挽回策」であると考えております。


2006年04月03日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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