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所長コラム

株主の皆様へ(第65回)

『当社本体事業の強化による新たな成長フェーズ』
~セーバーホールディングスとの株式交換の意義について~

藤原 洋

 株主の皆様におかれましては、堅調な歩みを取り戻しつつある日本経済と共に、多くの方々が、春爛漫の季節を感じておられることとお察し致します。さて、当社は今事業年度までで、IRIユビテックとBBTowerの上場、及びIXIのグループ入りによって、「IP技術を全産業分野へ適用する」(当社経営理念)上で、全顧客層に対応したグループ会社群の整備が完了したと考えております。そこで、新たなフェーズとして、今後は、本体事業を強化する局面を迎えました。今回は、このような背景の下、セーバーホールディングスとの株式交換の概要と、これを契機としたIRI本体事業の今後の方向性について述べさせて頂きます。

1. セーバーホールディングスとの株式交換の概要

 当社は、平成18年4月20日開催の当社取締役会において、平成18年7月1日を期して、簡易株式交換によりセーバーホールディングス株式会社(以下、「セーバーホールディングス」)を完全子会社とすることを決定いたしました。その目的は、モバイルおよびブロードバンド・インターネットにおける、動画像情報の変換技術と配信技術を獲得することにあります。完全子会社となるセーバーホールディングスは、その傘下に100%子会社である、動画配信に関わる販売と技術開発を行う子会社の2社を有しており、携帯電話向けのコンテンツ(動画、音声、静止画、記述言語)の変換、端末ごとの最適化および配信管理に特化したシステムの開発・販売を行っております。この携帯電話向けの動画配信という特化した分野において、圧倒的な競争力を有し、既に数多くの有力コンテンツプロバイダー、コンテンツ配信事業者を顧客として抱えております。
 今回のセーバーホールディングスの当社完全子会社化を契機に、当社は、事実上の持株会社フェーズから、「グループ会社を束ねる事業主体」となり、事業会社フェーズへと移行する予定です。この本体事業のコア事業の1つとして位置づけられるのが、今回開始する「知的財産提供事業」です。今後さらに、当社本体および完全子会社では、次世代ネットワークサービスの基盤となる高度な知的財産の蓄積に努め、強力な顧客基盤を有するグループ会社と共に最先端技術を提供する「知的財産提供事業」を強化してまいります。
 株式交換比率としましては、セーバーホールディングスの株式1株に対して、当社の株式2.6株を割当て交付いたします。これにより、当社の全発行株式数に対する割合としては約2.2%に相当いたしますが、今回の株式交換は、同社が既に黒字化しており、今後の黒字幅の拡大の中で、暖簾代償却を考慮しても十分に当社の連結業績の増収増益に貢献するものと確信しております。

2.当社の創業後10年間の成長フェーズと今後の当社本体事業の方向

 今回のセーバーホールディングスとの株式交換を、当社本体の経営戦略とあわせて纏めますと、「創業後3年間、技術のコアを当社本体で蓄積するフェーズ」、「上場後5年間、本体で蓄積したコア技術をもとにグループ会社群を整備する分散型成長フェーズ」、そして今後は、「グローバル戦略に基づく本体事業をコアにした事業収束型成長フェーズ」へと発展させてまいります。

●「グループ会社を束ねる本体事業」とは?
 当社は、繰り返しになりますが、事実上の持株会社フェーズから、「グループ会社を束ねる事業主体」となり、事業会社フェーズへと移行し、これにより、当社本体の事業として、「知的財産提供事業」および「ネットワーク社会基盤事業」を2つのコア事業として位置づけます。当社本体および上場をしない100%子会社が一体となり、本体事業を担当します。

【1】「知的財産提供事業」とは
 次世代ネットワークサービスの基盤となる、高度な「知的財産」の蓄積に努め、産業分野別に顧客基盤を有するグループ会社の競争力を高めるために、グループ会社と共に最先端技術を提供する事業。

【2】「ネットワーク社会基盤事業」とは
 当社本体が、「ネットワーク社会基盤」となる、高度なネットワークサービスを企画・参画し、当社グループ全体に共通する事業の取りまとめを行う「元請事業」。

3.「グループ会社を束ねる本体事業」の具体的実現方策とは?

 上記の「グループ会社を束ねる事業」の実現方策につきましては、以下のような具体的な戦略で臨みたいと考えております。

【1】「知的財産提供事業」の具体策(シ-ズ・オリエンテッド)
 当社グループの顧客にとって有用な知的財産を以下の2つの手法で蓄積します。この当社本体が実施する知的財産の蓄積によって当社本体の収益力と当社グループ各社の各分野における技術競争力を高めることを狙っております。
(1)知的財産保有会社の100%子会社化または吸収合併
   ⇒例: 今回のセーバーホールディングスとの株式交換
(2)当社本体主導のグループ共通の研究開発部門・プロジェクトを設置し、オリジナル技術に基づく知的財産を確立する。このため、国内外の学術研究機関との関係を強化し産学連携を本格的に展開する。

【2】「ネットワーク社会基盤事業」の具体策(ニーズ・オリエンテッド)
 当社グループ全体に共通する元請事業を行うために以下の2つの手法を用います。この当社本体が実施する元請事業の企画と実施によって、需要喚起による当社グループ全体での事業規模の拡大を狙っております。
(1)当社本体がグループ共通事業の元請事業を主導する組織の設置、および同機能を保有する企業の100%子会社化または吸収合併を行う。
   ⇒例: 日本インターネットエクスチェンジ株式会社(以下、「JPIX」)のシステム構築・運用業務の受託。文部科学省研究開発案件の受託。
(2) 「当社グループにとっての元請事業となり得る事業創造」を行う。
   ⇒例: JPIXの設立提案とその後の運営。政府や大企業との連携による大型プロジェクトの立案とグループ取りまとめ事業の実施。

 これまで、当社グループは、グループ各社の独立性を尊重し、当社本体は、本社機能のほか、主として子会社群の成長支援と上場支援を行ってまいりました。今後は、継続して、上場に適した個別独立分野の子会社群の成長支援と上場支援を継続する一方で、当社本体に取り込むべき前述の2つのコア事業を本体および100%子会社にて実施することとし、今後の本体事業の拡大へ向けて注力する所存であります。今回の株式交換を契機に、セーバーホールディングスの誇る優秀な経営陣および技術陣と共に、当社グループの要として、営業利益、経常利益、当期利益のバランスのとれた当社本体の企業価値向上に来期以降本格的に取り組んでまいりますので、株主の皆様にはご支援・ご協力の程お願い申し上げます。


2006年04月20日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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