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所長コラム

株主の皆様へ(第68回)

『SBIホールディングスとIRIとの経営統合について』
~ "The Network is the Economy"への新たな挑戦 ~

藤原 洋

 株主の皆様におかれましては、晩秋も過ぎ、2006年の最後の仕上げにご多忙のことと存じますが、いかがお過ごしでしょうか?当社は、日本のインターネットの夜明けを呼ぶために起業し、来る12月9日をもって創業十周年を迎えます。この十年のインターネット商用化の歴史は、まさに当社の歴史そのものであり、株主の皆様のご支援により、日本の社会におけるインターネット技術基盤の整備に貢献できたものと存じます。ここに改めて御礼申し上げます。さてこの度、当社は、来年2月16日に予定しております当社臨時株主総会の承認を経た上で、SBIホールディングス株式会社との経営統合を行うこととなりますが、今回の経営統合の目的、背景、そして今後の展望について述べさせて頂きたいと存じます。

1.経営統合の目的 ~ 『情報金融資本主義社会』の先導 ~

 18世紀に「力学」を原理とする第一次産業革命がイギリスから始まりました。科学技術が社会を変える人類の新たな歴史の幕開けでした。19世紀末には、「物質科学」を原理とする第二次産業革命がドイツで生まれ、20世紀にアメリカにおいて、大きな発展を遂げ、世界は産業資本主義から金融資本主義へと発展しました。現在、人類は、「数理科学」を原理とする第三次産業革命(デジタル情報革命)に直面していると思われます。
 この度、経営統合を目指す両社は、経営トップ同士の議論を重ねる中で、インターネットを核とするデジタル情報革命によって、我々が実現しようとする社会は、金融資本主義の次に来るべき『情報金融資本主義社会』であり、その二大エンジンは、「ネットワーク技術」と「ネットワーク金融」であるとの共通認識に至りました。

2.経営統合の背景 ~ "The Network is the Economy." ~

 この十年を通じて、当社グループは、インターネットインフラ、商用IX、モバイルインターネットインフラ、コンテンツ配信拠点、ブロードバンド環境、ユビキタス環境、IP放送プラットホーム、そして企業向けIPネットワークの整備など、「インターネット技術」において主導的役割を果たして来ました。
 一方、インターネットの利活用という面に目を転じますと、ほぼ十年前にWebが登場し、日本でもヤフーをはじめとする様々な情報検索、ネット証券、ショッピングモールなど、多くのインターネット・サービスが登場しましたが、SBIグループは、「インターネット金融」において主導的役割を果たして来ました。
 さらに、最近では、「Webプラットホーム」と「集合知の利用」を二大概念とするWeb2.0の潮流が生まれ、NGN(Next Generation Network)によるインフラの再構築も含め、インターネットも全く新しい局面を迎えています。かつて、SUNの創業者CTOのビル・ジョイは、UNIX4.2BSDにTCP/IPを実装してインターネットの普及の原動力とし、"The Network is the Computer."という概念を提唱しました。あれから20年以上が経過し、ビル%ジョイの予言通りにネットワークがコンピュータになり、ネット証券は支店対面営業型証券業務の非効率性を大きく改善しましたが、未だ実世界の写像としての仮想世界に留まっています。今後、次世代の先導者となるべく両社が経営統合によって、求められているのは、ネットワークそのものに実体経済圏を形成することだという共通認識に至りました。それは、「WebX.0型のネットワーク技術」に基づく「次世代金融インフラ」であり、あらゆる産業のロングテール型の経済活動・金融取引をネットワーク上で可能とする"The Network is the Economy."であると考えています。

3.経営統合後の展望 ~ "General Internet Company"へ ~

 当社グループは、自社の技術力によって他社事業の収益力を高めるための事業展開を行ってきたことで、「尊敬される企業」グループであると認識しております。一方、SBIグループは、日本のインターネット金融事業を開拓し業界トップの規模と収益力を誇る「強い企業」グループです。今回の経営統合によって、真の「強くて尊敬される企業」グループへと発展したいと思っております。
 今後は、両社は、自社グループ内に高度な技術力を有し、それを自社グループ事業の収益力を高める企業へと発展する予定であります。アナロジーとしては、トーマス%エジソンが創り、ジャック%ウェルチが大きくしたGE(General Electric)は、高い技術力を有しますが、高い収益力の源泉は、強力なファイナンス部門にあります。両社は、今回の経営統合によって、第二次産業革命のリーダーGEに匹敵する、第三次産業革命のリーダー"General Internet Company"を目指したいと考えております。

 株主の皆様には、来年2月16日に開催予定の臨時株主総会へ是非ご出席を賜り、両社の経営統合後もさらなるご支援を賜りますようお願い申し上げます。


2006年12月01日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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