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所長コラム

株主の皆様へ(第69回)

『インターネット総合研究所創業10周年記念式典を終えて』
~ 経営統合後の決意と展望について ~

藤原 洋

 株主の皆様におかれましては、年の瀬も迫り、日に日に寒さも増し、冬を体感する季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?当社は、去る12月9日、無事に創業十周年を迎えることができましたことを、株主の皆様に改めて御礼申し上げます。十周年を迎え、これまでお世話になった当社と関係の深い、学術研究機関、顧客、パートナー企業、報道関係者の方々をお招きし、12月8日には、創業10周年の記念式典を開催いたしました。また、11月28日に首記の当社にとっては、大きな岐路となる決断について発表し2週間ほど過ぎましたが、この間、多くの株主の皆様、お客様、共同事業パートナーの方々からお問い合わせをいただきました。また、報道関係からも、様々な関心を寄せていただいており、ここで、当社の過去10年の活動の意義、東証マザーズ第1号上場企業としての責任、今後の展望についてのご報告と私の決意について述べさせていただきたいと存じます。

1.創業10周年記念式典のご報告 ~ インターネット商用化の歴史と共に ~

 去る12月8日に、主として、当社のお客様、大学関係・国立研究所の研究者の方々、および共同事業パートナーの方々約600名にお集まりいただき、第一部で、これまでの10年の歩みをビデオ映像にてご覧いただきました。続いて、第二部の交流会にて、お集まりいただいた方々と10年を振り返り、意見交換をさせていただきました。
 式典において、まず最初に、私から以下のことを述べさせていただきました。これまでの10年間、当社が、中立的立場に立って、インターネット技術を駆使することで、①日本初の商用IXの開発と運用、②世界初のモバイルインターネットインフラの構築支援、③世界最高水準のブロードバンドインフラの構築支援、④世界最大級のトラフィックを発生する専用データセンター等を通して、通信分野に大きな構造変化をもたらしてきたこと。そしてこれからの10年は、金融分野にインターネット技術を本格適用することで大変革をもたらそうと決意し、最もインターネット技術を理解し活用しているSBIホールディングスと共にこれを実現しようとしていること。株価は170分の1まで下落したが、まだ、最高値から25分の1くらいまでしか回復していないため、これからは、米Googleや三菱UFJフィナンシャルグループのように尊敬され社会に影響を有する企業を目標とし企業価値向上(25倍!)に努めること。
 次に多くの参加者の中から、各界を代表して10周年のご祝辞をいただきました。相磯秀夫東京工科大学学長(日本発のトランジスタコンピュータを開発、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス創立者、坂村健教授、徳田英幸教授、村井純教授などを育てられた日本のコンピュータ研究の父)、秋草直之富士通株式会社代表取締役会長CEO(財団法人インターネット協会初代会長、日本最大のコンピュータ企業代表と共に日本のインターネット産業の父)、北尾吉孝SBIホールディングス代表取締役社長CEO(日本のインターネット金融の父)、野田聖子衆議院議員(元郵政大臣、当時私と産学の関係者で郵政大臣のためのIT技術勉強会を実施、日本の学校インターネットの母)、村井純(慶應義塾常任理事、WIDEプロジェクト代表、日本のインターネットの父)、立川敬二宇宙航空研究開発機構理事長(前NTTドコモ代表取締役社長、世界初のモバイルインターネットサービスの父)、からいただきました。また、式典には、その他、数多くの大学研究者、NTT、KDDI、ソフトバンク、フジテレビ、TBS、NEC、日立製作所、東芝、松下電器、ソニー、リクルート、証券、銀行、報道関係など幹部の方々にご参加いただきました。

2.日経新聞に激励されて ~ 東証マザーズ第1号上場の次は? ~

 日本経済新聞の囲み記事では、東証マザーズ第1号が、時価総額1兆円から400億円くらいのまま技術者に戻って退場?という激励をいただきましたが、上場市場から退場する気など毛頭なく、今後も、先に述べたように、東証一部上場企業SBIホールディングスとの経営統合が臨時株主総会で決議されれば、「企業経営者として」、①従来通りインターネット・テクノロジー事業分野で、今後増強される資金力を活かしたさらなる成長戦略を維持し、②主戦場として今後激変するインターネット金融分野での大変革を起こす決意であります。
 「科学技術が社会を変える。その先導者となりたい。」という夢を株主の皆様と共有し、株主の皆様のご支援によって、当社は、1999年12月22日東証マザーズ第1号として上場することができました。この夢を共有した若いエンジニアたちが当社に集まってくれました。また、集まってきたエンジニアたちのスキルを評価して頂いた多くの通信事業者、コンテンツ事業者、機器メーカーの方々が当社の顧客となられ、世界初の本格的ブロードバンドサービスやモバイルサービスや機器開発に成功され、当社も順調に業績を伸ばすことができました。しかし、一方、株式市場では、米マイクロソフト社の独禁法抵触裁判に端を発するIT関連企業株が暴落し、時価総額では、当社は、売上7億円の時点(2000年)で1兆円をつけていましたが、売上77億円の時点(2002年)で、59億円まで下落しました。その後、先行投資が終了し、2期前から黒字復帰し、時価総額も1000億円を超えたところで、ライブドア事件に端を発する新興市場の不調で、マザーズ指数、ジャスダック指数、ヘラクレス指数に連動する形で、一斉に新興市場銘柄が約60%下落するという事態となり現在に至っています。最近ようやくこの新興ショックも収まりつつあるという状況にあると思われますが、成熟安定型企業が多い東証一部銘柄は、ほとんど時価総額変動がないというのが、実状です。
 当社は、このような株式市場の激変の中で、創業当初からテクノロジーファンダメンタルズを追求し、グループ全体でコツコツと技術を蓄積して、これまたコツコツではありますが連結業績も伸ばしてきました。まだまだ小規模ではありますが、第1期から売上は10年で約760倍、経常利益は約1100倍に増加しました。ようやく、上場後7年にして、増益基調が定着したところであります。
 この増益基調をさらに加速すると共に、自分たちの技術を他社だけに提供するのではなく、自社サービスとして展開するために、最も収益性が高く、あらゆる産業分野の基盤となるネット金融分野のパートナー企業として、東証一部上場企業の中でも革新的で成長性が高く、ファンダメンタルズに忠実な経営姿勢を貫いてきたSBIホールディングスを経営統合パートナーとして選ばせていただきました。今回は、自社だけの小規模な事業成長に留まらず、成長する大企業との経営統合という道をあえて選択しましたが、今回の選択が正しいと、株主の皆様からご評価いただけるものと確信しております。
 自主技術によって事業を育てることは、一朝一夕にできるものではありませんが、これまでも、これからも、夢を大きく持ちチャンスを伺うことでやってきたつもりですし、これからも今まで以上に継続してまいります。

3.「インターネット総合研究所はなくなるのか?」という質問に対して

 今回の経営統合が実行されれば、証券コード4741の東証マザーズ銘柄としては、上場廃止になりますが、新たに当社株は、東証一部の証券コード8473の株式と交換されます。そこで一旦SBIホールディングスの100%子会社となり、独立性を保持しつつ、存続いたします。同社は、東証一部上場の高収益企業でありながら、強力なベンチャーキャピタル部門があるために新興市場指数と連動した株価変動となってきたため、この「株式市場の錯覚」は、逆に当社との経営統合の相手としては交換比率の面で好都合であると判断しました。そして、8年に及ぶ共同事業の経験から、当社グループとSBIグループには、全く重複部分がなく、強い補完関係が存在する、即ち、ネット技術の専門家集団とネット金融の専門家集団の統合は、双方を互いに尊重し合える関係です。従って、当社名は商標登録もされている信頼の技術ブランドであることから、今後当社の臨時株主総会を経て、経営統合を行うことが決定した後も、「株式会社インターネット総合研究所」は、あらゆる産業分野において中立的で、学術研究との連携が深く、より強い企業グループの技術の中核を担う存在として、さらにインターネット技術を通じて社会を革新すべく、存続する予定であります。

 株主の皆様には、来年2月16日に開催を予定しております当社臨時株主総会へ是非ご出席を賜り、両社の経営統合後もさらなるご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。


2006年12月12日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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