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所長コラム

株主の皆様へ(第72回)

『平成19年2月22日付、朝日新聞朝刊報道を受けての当社の今後の取り組みについて』

藤原 洋

 株主の皆様におかれましては、当社2006年12月期中間連結決算発表の延期に対し、大変ご心配をおかけしていることをお詫び申し上げます。当社がこれまで連結決算対象企業として扱ってきた、株式会社アイ・エックス・アイ(IXI)が本日(2月22日)付、東証二部において上場廃止になったことを契機に、新たな局面を迎えたと認識しております。また、上場廃止日と時期を同じにして、本日(2月22日)付、朝日新聞朝刊の社会面トップにおいて、IXIの架空循環取引に関する報道がなされたことを受けて、今回は、明らかになった事実をもとに、事実関係の整理と今後の当社の取り組みについて述べさせていただきます。

1.株式会社アイ・エックス・アイ(IXI)の沿革

平成元年7月(1989) 大阪市北区菅原町10番32-1101号において 株式会社ジーベックスユニオンを設立
平成9年12月(1997) 本社を大阪市淀川区木川東3丁目1番30号に移転
株式会社イチネンの子会社となり、商号を株式会社イチネン・ジーベックスに変更
平成11年7月(1999) 商号を現在の株式会社アイ・エックス・アイに変更
平成14年3月(2002) 大阪証券取引所 ナスダック・ジャパン(現:ニッポン・ニューマーケット-「ヘラクレス」)市場へ株式上場
平成14年10月(2002) 株式会社シーエーシー(CAC)がTOBで子会社化
平成16年3月(2004) 東京証券取引所市場第二部へ株式上場
平成17年8月(2005) 株式会社インターネット総合研究所がTOBで子会社化
平成19年1月(2007) 大阪地方裁判所に民事再生手続開始を申立

2.IXIの不正取引と株式上場の経緯

 本日(2月22日)付の朝日新聞によれば、IXIの一連の不正取引は2003年頃から始まり、本年1月30日に同社管財人が刑事告発した人々を中心に一連の不正取引が行われてきた旨の報道がなされております。
 これらの情報を踏まえ、IXI東証二部上場までの経緯を整理しますと、以下のとおりになります。
 ・ 平成13年(2001年)スルー取引開始:メディアリンクス事件に関与
 ・ 平成14年(2002年)スルー取引増加
 ・ 平成14年(2002年)大証ヘラクレスに上場
 ・ 平成14年(2002年)CACによる子会社化、新日本監査法人へ変更
 ・ 平成15年(2003年)不正(循環)取引開始 4月以降大半が不正取引化
 ・ 平成16年(2004年)東証二部に上場

3.当社としての対応

 前述しましたIXIの沿革と株式上場までの経緯の中で、当社としましては、IXIの東証二部上場企業としての「企業価値」および「社会的信頼性」を最終保証として、TOBによって平成17年8月15日に当社の連結子会社としました。当社がTOBを実行する際には、前回のコラムで触れましたように、証券取引法、会計基準の専門家とともに、入念な法的・会計的デューデリジェンス(Due Diligence:適正評価手続き。投資家が投資をおこなう際や金融機関が引受業務をおこなう際、投資対象の実体やリスクを適正に把握するために事前におこなう多面的な調査)を実施したと共に、事業責任者からも、ヒアリング調査を行いました。当社が実施した一連のデューデリジェンスプロセスは、有価証券報告書、財務諸表などに虚偽記載がないという大前提のもとで、適正であったと考えております。また、TOB後におきましても、東京証券取引所からの上場子会社の独立性確保のガイドラインに沿って、当社からIXIへ役員派遣も行うことなく、常に、IXIの独立性確保を尊重してまいりました。
 ところが、IXIは、半期報告書提出遅延に始まり、中間決算における新日本監査法人からの適正意見が出ないまま、民事再生手続開始を決定し、本日上場廃止となりましたが、本日の朝日新聞報道にあるように不正取引は、2003年から開始されていた可能性が高く、IXIは明らかに東証二部上場時点において、上場に適格ではなかった企業であると当社は判断しております。このことから、当社としましては、これまで、中間連結決算方針について、不正取引か適正取引か、いずれかであるかについての仕分け作業を監査法人の協力を得て行ってまいりましたが、現時点において、大半が架空循環取引であると当社は判断いたしました。また、納入されたとされる「ソフトウェア」が記録されている記憶媒体(CD-ROM数百枚)を、当社技術陣によって、精査確認した結果、まともな動作は一切確認されませんでした。さらに、IXIと当社および当社グループ企業との間には、一切の営業の取引関係はなく、当社および当社グループ企業との間の債務保証関係も存在しておりません。この結果、当社としては、2006年12月期中間連結決算方針について、IXIの決算を含まない連結決算方針にて行うこととし、当社中間連結決算集計作業を行っております。この方針をもとに、監査法人と調整し、株主の皆様からご心配をいただいております当社の半期報告書については、法定期限内での提出を行うために、また、投資家保護の観点から、早期開示を図っていくために、現在、作業中でありますことをあらためてご報告させて頂きます。

 株主の皆様には、大変ご心配をおかけしておりますが、司直と報道機関によってさらに明らかにされる真実をもとに、当社は、然るべき法的措置を通じ、株主価値の回復を図っていきたいと考えておりますので、変わらぬご支援・ご協力の程お願い申し上げますと共に、今回の経験を活かし、不正取引を再発させない、抜本的な法体系とこれを支援する技術体系を、業界団体等を通じて提案し、健全な情報通信社会の実現へ向けて尽力したいと考えております。


2007年2月22日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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