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所長コラム

株主の皆様へ(第74回)

『決算短信の公表、半期報告書提出と意見不表明による監理ポスト割り当てについての見解について』

藤原 洋

 株主の皆様におかれましては、暖冬から寒波の再来、そして全国各地での開花宣言と目まぐるしく変わる季節の中で、特に、当社連結決算について東証開示ルールに基づく決算短信発表の延期に対し、大変ご心配をおかけしてきたことを改めてお詫び申し上げます。発表延期となってきた原因は、かつて当社連結決算対象企業として扱ってきた、株式会社アイ・エックス・アイ(IXI)の不正(循環)取引による影響でありますが、同社の不正取引は、メディアリンクス事件を上回る規模の一大経済事件の様相を呈してまいりました。「長期にわたって好業績を装ってきた」かつての東証二部上場企業であったIXIが何の前触れもなく、突然経営破綻し、上場廃止という前例のない事件に直面する中、同社を連結子会社として取り扱ってきた中で、当社の中間期の連結決算へどう処理するのかという前例のない事態に、年明け早々から三ヶ月、対応してまいりました。このことに対する処理については、当社の監査法人、東京証券取引所、法律事務所、および金融庁などの専門家の方々の意見やアドバイスを頂きながら、当社としては、法定期限内(4月2日期限)での半期報告書の提出と決算短信の早期公表を目標に、できる限りのことをしてまいりました。公表までに及ぶこの三ヶ月間、ご心配やご支援を頂いた株主の皆様と関係各位に御礼申し上げます。なお、意見不表明を受理したことで、後で述べますように、「監理ポスト入り」の通告を受ける結果となりましたので、この一連の状況について述べさせて頂きたいと存じます。

1.大阪地検特捜部による強制捜査と当社の取り組み姿勢

 これまでの一連の新聞報道等によると、IXIの不正取引は、2001年頃にその起源があると証言されており、2003年から、IXIの一連の不正取引は、本格的に定着していたと思われます。この不正取引は、IXIだけでなく他の多くの企業を巻き込んだ経済事件であり、去る2月28日には、大阪地検特捜部の強制捜査がIXIおよびその取引先企業に入り、真実が解明されつつあります。当社としては、この迅速な捜査当局による捜査の迅速な進展に期待すると共に、事件の被害者であるIXIの株主、債権者、および取引に関わった企業、および当社を含む特別損失計上を余儀なくされた企業および、その株主の立場に立って、当社としましては、関連企業、業界団体、関連機関とも連携をとりながら、一連の事件被害者を被害者として終わらせることないように、尽力する所存であります。今回の法定期限内での半期報告書と決算短信の提出は、当社の株主の皆様の資産保全と、他の上場企業の投資家保護の観点から、最初に行うべき必須の作業であったと認識しております。また、先週から、債権未回収被害企業からの訴訟が始まっておりますが、当社としましては、捜査当局の捜査の進展に合わせて、適時なタイミングで、損失の極小化を図るべく、しかるべき法的措置を講じる構えであります。また、今回の不正取引に端を発し、今後の再発防止につきましては、私が理事を務めております財団法人インターネット協会において、先週開催された同協会の理事会でも報告させて頂きましたが、一連の事件の背景にある、特にソフトウェア取引における、会計監査だけでは不十分な点を改善するための法的、会計的、技術的に体系立てた、不正取引防止のための課題と対策を提言する「不正取引防止委員会」を新設提案し、活動を開始いたしました。

*IXI事件の系譜(報道内容から)
 ・平成元年(1989年) 株式会社ジーベックスユニオン設立
 ・平成9年 (1997年) 株式会社イチネンの子会社となり、商号を株式会社イチネン・ジーベックスに変更
 ・平成11年(1999年) 商号を現在の株式会社アイ・エックス・アイに変更
 ・平成13年(2001年) スルー取引開始:メディアリンクス事件に関与
 ・平成14年(2002年) スルー取引増加
 ・平成14年3月(2002年) 大証ヘラクレスに上場
 ・平成14年10月(2002年) 株式会社シーエーシー(CAC)がTOBで子会社化
 ・平成15年(2003年) 不正(循環)取引開始/4月以降大半が不正取引化
 ・平成16年(2004年) 東証二部に上場
 ・平成17年(2005年) 不正取引増加
 ・平成17年8月(2005年) 当社がTOBにより子会社化
 ・平成18年年末(2006年) 中間報告書の会計監査作業から簿外債務の存在など不正取引と粉飾決算が発覚
 ・平成19年2月28日 大阪地検特捜部による強制捜査

2.監査報告における監査法人意見と監理ポスト入りについて

 当社としましては、以上のようなIXI事件の系譜の中で、前回のコラムでも触れましたように、平成17年(2005年)8月に、株式公開買付(TOB)によって同社を子会社化し、2006年6月期から、当社の連結決算対象としてきました。しかしながら、それまで「好業績を誇ってきた」IXIの2007年3月期の半期報告書に対する監査法人の監査意見が一切出ないという突然の事態に対して、当社としましては、連結決算について、証券取引法、会計基準の観点より、弁護士や会計士等の専門家と相談しながら、慎重に、対処策を探ってまいりました。最初に着手したのは、当社監査法人の協力を得ながらの、IXIの2006年度取引における不正取引と正当取引の区分け作業です。しかしながら、2006年度の営業取引の大半を不正循環取引が占める同社の一連の帳票類、受発注伝票の区分け(循環取引かスルー取引かの区分けなど)は、取引先のさらに先の企業の特定(通常は企業間取引に機密契約があり捜査機関以外には開示は困難)作業に限界が生じました。そこで、在庫および納入品として認識されている一連のソフトウェア製品(xx管理システム一式と命名されていた)のオブジェクトコードを、当社技術陣によって解析する作業を行いました。この結果、一連のソフトウェアが動作しないだけでなく、別の目的の「業務ソフトウェア」のオブジェクトコードが完全に一致するなどの不可解な事実が判明しました。
 当社の連結決算に取り込むべきIXI決算根拠となるこれら一連の作業とその事実関係をもとに、当社として現在できる連結決算処理の方法としては、2006年12月中間期における当社の半期報告書において、IXIを連結決算の対象とはするが、信憑性ある数値がほとんど見受けられないために数値を組み入れないという方針を採ることとしました。この方針に対して、連結決算としての形式基準から、適正意見は難しく、「意見不表明」であるという監査意見を受理した次第であります。当社としては、架空取引が大部分をしめる可能性の高いIXIの財務諸表を組み入れて連結決算を行うことそのものに対して、監査時点において適正な監査は不可能であるため、「意見不表明」は、極めて合理的な対応だと認識しております。

3.監理ポスト入りと今後の対応について

 「適正意見」が得られない状況の中で、「監理ポスト入り」は、これは致し方ないことであると認識しております。このような状況の中で、早く通常ポストへ戻れるように、東京証券取引所へ、十分なご説明を行っていくと共に、IXI事件の早期解明とそれに伴う訂正等の作業を迅速に行っていく所存であります。本来あるべき資本市場の投資家保護とルールとしての会計基準適用の厳格さが求められる中、経済犯罪の被害をどう最小化するか、どう再発防止を行うかの難しい局面を迎え、改めて、今回、決算短信を開示し、半期報告書を遅延なく提出することができましたことを、株主の皆様と関係各位の皆様に感謝申し上げます。また、私自身、これまで多くの前例のないことを経験し、非常事態に直面し問題解決の集中力を発揮してまいりましたので、今後も想定される様々な事態に対応して、最高経営責任者としての責任を全うすべく、株主の皆様、および関連業界の他の上場企業の株主の皆様の資産価値の回復と企業価値の向上に尽力する所存でおります。今後も、引き続き、変わらぬご支援・ご協力の程お願い申し上げます。


2007年4月2日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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