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所長コラム

株主の皆様へ(第48回)

『 IRI本体の役割と最近の事業展開について 』
~IRIは投資会社に変化したのか?~

藤原 洋

  先週も継続して機関投資家の方々向けのIR活動を行ってきましたが、そこでの大半のご質問は、来期見通しに関するものとIRI本体の最近の事業展開に関するものでした。IRI本体からユビキタス研究所を株式会社IRIユビテック(以下、IRIユビテック)へ、ネットワーク事業部を株式会社IRIコミュニケーションズ(以下、IRI-Com)へ移管したために、今期の売上と利益の大半は、IRIユビテック、株式会社ブロードバンドタワー(以下、BBTower)、IRI-Comの3社を中心とする連結対象会社によるものです。株主の皆様のご支援・ご協力の結果、この3本柱のグループ企業は、全て黒字化し、3社の稼ぎ出す経常利益の合算は、10億円を超える規模となる見通しです。ここに改めて御礼申し上げます。そこで、今回は、IR活動で質問の多かった、IRI本体の役割と同事業部門のグループ会社への移管後の最近の事業展開について述べさせていただきます。

1. IRI本体の役割について

  当社は、1996年末、「IP技術をあらゆる産業分野に適用する」ために7名で創業し、一貫して技術革新の牽引役を果たしてきました。その後、多くの仲間が集まり、電話会社のインターネットビジネス、インターネットエクスチェンジ(IX)事業、データセンター事業、コンテンツ配信事業、ユビキタス技術の研究開発などをIRI本体でインキュベーション(抱卵、孵化、培養の意味)した後、人材と資本を投下してグループ会社を立ち上げてきました。従って、当社は、投資会社ではなく、一貫してオリジナル・テクノロジーを前提とした「人中心の起業型企業」として事業展開を行ってきました。また、インキュベーション後、グループ会社として独立させ、条件を満たせば上場させるのには、いくつかの理由があります。その最大の理由は、当社の開発した技術をより短期間でスケールアップし、社会に利用されるためには、技術やビジネスチャンスを独り占めするよりも既に社会基盤の中で活動されている影響力のある企業と合弁事業として立ち上げる方が有効だと考えたからです。IRIの株主価値の増大と経営責任を明確化するために、経営権を確保した上で、これまで6社の主要連結子会社と2社の戦略的持分法適用会社を創ってきました。このたび、「人中心の起業型企業」の初めての成果としてIRIユビテックが、大証ヘラクレスに上場することができましたが、これは、母体となったタウ技研のモノ造り専門家集団に加えて、ネットワーク機器の開発エンジニア、ネットワークサービスの運用技術者などIRI本体、グループ企業間の人事交流を行った成果であります。今後も、上場企業としての独立性を保ちつつ、親子関係を排除し、IRI本体、グループ企業間の人事交流を積極的に行い、「起業型企業」群を発展させていきたいと考えております。このようにIRI本体の役割は、人中心の起業プランを立案し事業として育成し(今期は、インキュベーション中のため数億円規模だが、前期は約74億円の規模だった)、育成完了後は、さらなる成長のもととなる起業プランに着手し、これを実行することにあります。事業育成とは、ヒト・モノ・カネという経営資源を集中的に投下することですが、特に重要なのが人材獲得で、当社は、創業以来重視してきたアカデミズムと有力企業との連携に基づき、グループ内人事異動、スカウト、出向などによってこれを行ってきました。今期は、ちょうどネットワーク事業部(現IRI-Com)とユビキタス研究所(現IRIユビテック)の育成後にあたり、事業規模としては、ブランク期間となりましたが、これは次世代事業の起業プランに着手してきたからです 。

2. IRI本体の次世代事業の起業プランと具体的展開

 当社は、以下に示す3つのフェーズに分類されるインターネットの歴史と共に発展してきました。現在、IRI本体では、第3フェーズへ向けてのインキュベーションを行っている最中です。

第1フェーズ: 「インターネットってなんだろう?」

 ⇒ 当社事業規模:~10億円(主としてネットワーク技術コンサルティング事業)

第2フェーズ: 「インターネットは面白い・楽しい・便利」

 ⇒ 当社事業規模:~100億円(IPネットワーク、IPプラットフォーム事業)

第3フェーズ: 「インターネットは、なくては困る」

 ⇒ 当社事業規模:~1000億円(IPネットワーク、IPプラットフォーム事業、X事業)

さて、第3フェーズの方向性ですが、これには、以下の3つの方向性があると考えております。

(1)ユビキタス社会を実現するためのデジタルネットワーク家電分野
(2)健康な社会を実現するための医療IT分野
(3)安全な社会を実現するためのホームランドセキュリティ分野

 この3つの方向性に向って、現在IRI本体では、次世代事業を準備中ですが、その最初の成果として、来期からの受注になりますが、文部科学省からの研究受託を行うことができました。これは、衛星によるデジタルデバイド解消と遠隔医療の実証実験プロジェクトですが、電子カルテ利用の標準化など多くの有効な課題が含まれています。この研究課題の採択は、ほんの小さなステップに過ぎませんが、IRI本体の少数精鋭部隊は、IPネットワーク、IPプラットフォーム事業をさらに発展させるべく次世代事業の立ち上げに取り組んでおります。

株主の皆様におかれましては、3つの柱に育ったグループ企業の成長と共に、IRI本体が行う次世代事業立ち上げへの挑戦にも是非ご期待頂きたいと存じます。投資会社ではなく、「起業型企業」としての当社に、引き続き変わらぬご支援ご鞭撻の程お願い申し上げます。

2005年6月24日
株式会社インターネット総合研究所 代表取締役所長 藤原 洋

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