第19回 インターネット革命は会計を変えるか?
(2007年7月)

企業経営と会計

 今回は、「インターネット革命は会計を変えるか?」という話題です。企業経営にとって会計処理は、必須ですが、中小企業にとっては、会計処理の負担が長年の課題でした。しかし、インターネットの普及によって大きな変化が起こりつつあります。
 自社の経営状態を把握し、経営判断するのが企業経営者ですが、現状では、当月分の月次報告は早くて翌月10日から20日(発生から40日~60日)にもなり、即座の。経営判断の障害となってきました。会計とは、経営活動の結果を分類、集計、計算し、報告(月次・年次決算)することだと認識されてきましたが、今日より重要なことは、経経営判断の材料提供であるといえます。

インターネット会計とは?

 インターネット会計とは、IT化された会計事務所と企業とがインターネットを通じて会計データを共有することで、リアルタイムに連携し、財務状況に応じたアドバイスを行う仕組みです。インターネット会計では、電子メールで入力済みの経理データを会計事務所に送信し、会計事務所で事前に帳簿監査を実施した上で疑問点等を確認し、確定した会計データを返信するようになっています。この結果、監査済み確定会計データから月次試算表等の月次財務データを出力し、企業経営者へのタイムリーな報告を実現します。

インターネット会計システムの特徴

 今日、中小企業の経営上の課題を解決するために台頭してきた同システムの特徴をまとめると以下の4点に集約することができます。

①勘定科目体系の設定が自由
 何種類かの科目体系が準備され、独自の科目体系も追加設定できるようになっています。
②簡単なデータ入力
 科目体系を設定すると、その体系にあった仕訳パターンが自動生成され、会計知識が十分でない人も、データ入力を簡単に実施することが可能です。
③標準表計算ソフトウェアへの出力
 通常は、帳票印刷やパソコン側へのデータの取り込みには標準表計算ソフトを使用するため、二次加工、グラフ表示などが可能となります。
④部門別損益管理
 複数の部門別や階層別グルーピングの会計処理が可能となります。

インターネット会計による効果

 企業側の効果としては、以下の3点が挙げられます。

 ①パソコンとインターネットがあれば、いつでもどこからでも入力可能。
 ②複数台のパソコンで同時に作業が可能。
 ③インターネット経由での会計事務所からのアドバイスが可能。

 一方、会計事務所側の効果としては、以下の4点があげられます。

 ①安価に企業との情報ネットワークを構築
 ②インターネットによる企業帳簿の事前チェックによる月次巡回監査の効率化
 ③企業と会計事務所間の同一財務データの共用
 ④企業側のデータ管理は、データセンター会社が代行

 以上に述べたように、インターネット会計は、これまで正規の会計処理を行うのに障害のあった中小企業に対して、低コストでタイムリーな会計処理システムの導入を可能にするという大きな変化をもたらしつつあります。